remember9『夏型の春告げ鳥達⑨』
「全てを詳しくは言えない」
「が、少しだけ…以前キャンディ先生は…」
「ある生徒と共に、封印解除を試みたことがある」
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5minute))crimson
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「…それって」
「ああ、入学式の日と次の日にお前がやったことだ」
「が、そのときのそれは失敗に終わったらしい」
「…そんでそこで良くない事があったらしいんだ」
「だからあんまりお前達を放しておきたくない」
「理事長をイラつかせたくない」
「ってことだと推測できる」
「…うーん…」
「…じゃあどうやって粛正すればいいんだ…?」
「話聞いてたか?」
「…いやいや」
「生徒の質をよくしてるだけですよ、俺ら」
「理事長先生からしても良い事のはずです」
「まあそれはそうだが」
「…理事長は独占欲の高い方でな」
「自分の生徒、部下をとても大切にする方なんだ」
「…」
「『怪我をさせてはいけない』…」
「ああ、そういうことになるな」
「…無理じゃない?」
「…」
相手の意見とプライドを大切にして、
怪我をさせず、戦わず、
説得だけする方法…
これ以上考えても無駄だな
こんな方法、ああいう人達相手にあるはずがない。
第一、
そんな甘っちょろいことをするつもりはない。
ーーーーーー現在
「先生」
「はい?」
「やっぱり俺たちは妥協できません」
「!」
「だ、ダメです!」
「誰かが傷つくかもしれない戦いなんて!」
「させません、ですか?」
「ええ!」
「でも、あなたには無理だったでしょう?」
「⁉︎」
クリムゾンの汚染感情。
「誰も傷つけず?」
「みんなが納得できる方法?」
「そんなのあるわけないじゃないですか」
「そんな甘い先生の言うことなんか聞きません」
「現に…」
「あなたは俺を説得できるのに『してない』」
「正しさが弱いことを知っているから」
「…」
「もちろん、怪我人はできる限り抑えます」
「でも」
「俺は依然悪の道を進みます」
「みんなを『押し上げる』為に…」
「…」
“先生、邪魔しないで!”
“私は私を曲げたくない!”
「…わかりました」
「もう何もいいません」
「…」
「これからは、半分だけ応援させてくださいね」
「…はい!」
「ところで『紅くん』」
「は…はい?」
「金曜日の6時間目サボってたそうですね」
ぎくっ
「…いやあれはクリムゾンのせいで!」
「それはわかってます」
「でもどうして一言いえないんですか?」
「…すいません」
「全く…」
「正義ぶってんじゃないですよ!」
…ははっ
さすがは口論最強…
敵わねえーー!