struggle7『封印クライン⑦』
「あれ、リリー、ポニーテールにしたのか?」
「うん」
「似合ってるでしょ」
「そうだな」
「でもあんまり男子にそういうこと聞くなよ」
「似合ってるでしょ」
「そうだな」
「…」
教師キャンディ・ベルは思い出す。
“先生の言うことなら聞きますんで”
“ついてきてください”
嘘ですねぇ
狙いは他にあるんでしょう
多分わたしは今脅迫されてる…ということですね
キャンディ先生に言われましたって言いますよってね
では必要なのは能力【ダークエンジェル】ではなく…
達成『話術』
『達成』には、
『人間の能力の延長線上にある技術』
『どんな能力も干渉できない』
という特性の他に、もう1つ特性がある。
『達成』するのに『才能』は関係ない。
関係があるのは『過去』である。
私、キャンディ・ベルが最も得意とすることは!
『自分のやったことを正当化すること』!
口達者Level100ってとこかしら
私がいればたとえあの子達が理事長に無礼を働いても善意からの行動にしてしまえる…
我ながら恐ろしい力ですね
「さあ、行きますよ」
「はーい」
理事長室
「失礼します」
そこには。
男がいた。
だがそれ以外がよくわからない。
今は朝だ。
だから逆光がきつい。
顔が見えない。
〔見る必要はないんだけど〕
「やあ、いらっしゃい」
「そこの2人は封印クラスの欠席番号じゃないか」
「ふふ…」
「みなさん、おはようございます」
このメンツで顔色が全く変わりませんね
さすが理事長です
「ところで」
「君の能力で校則を書き換えればよかったのではないかね?」
「「「「!!!!!!!!???????」」」」
ば…バレてる…
じゃあなんとかいいくるめないと…
「…この子達なりに考えたのです」
「封印の制度は間違っていると思います」
「…」
⁉︎
何言ってんの薙紫くん⁉︎
平穏に部活を承認してもらうのが目的じゃなかったんですか⁉︎
「ほう」
「確かにあなたの寿命は30年減らされたし」
「極悪の血が入っているのが不安なのもわかります」
「…」
「でも!」
「それなら、以前と同じように!」
「生徒のことは生徒で解決させればいいじゃないですか!」
「…何がいいたい?」
「俺に『封印』を任せてもらえないでしょうか」
「「⁉︎」」
ど、どういうことなのか…
リリーちゃんと心裏ちゃんまで驚いている…?
じゃあこれは薙紫くんの独断行動?
「無理だ」
「封印は私の『能力』だ」
「分け与えることなんてできない」
「分け与えてもらう必要は無いのです」
「?」
「封印なら俺にもできます」