Chapter2『達成使いは夢を見る②』
本当、ついていない人生だな、と。
『薙紫紅』だってまさか、
入学式をサボる羽目になるとは思っていなかった。
あれでも最大限飛ばして来た方だったのだ。
だがまあ、普通なら、普通の高校なら怒られたんだろう。
しかし、
『薙紫紅』の入学した学校に関して言えば…
遅刻はむしろ正義である。
無立『天角』学園。
この学校には、倫理観が存在しない。
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absoluteZero=crimson
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「説明はもう終わりましたよ?クレナイくん」
「ほんっとごめんなさい」
「はあ……まあでもいいわ、貴方達くらいだもの」
「登校なんてしちゃうお利口さんは」
…そう。
この学校は普通じゃない。
このロリ先生が言うように、
登校しない生徒がほとんどなのだ。
俺がいるのは、『1年1組』。
通称、
凶悪犯罪者クラス。
…いや、俺は無実だ。俺は何もしていない。
まあ『何もしていないからこそ』来たんだが。
とにかく、
この学校は世間と合わない者達の巣窟というわけだ。
「クレナイ君、罰として学級委員会、行ってね?」
…ちょうどいい。
この学校のメンツを見ておきたかった所だ。
薙紫紅は学級委員長となった。
委員会はこのあとすぐ。因みに、
彼が生きて帰ってくる保証は無い…
ー視聴覚室ー
男でも惚れそうなくらいかっこいい先生は、
高らかに言う。
「『天角学園』にようこそ」
「私は講師の都賀 生命だ」
「この会議では今後の学校のあり方を決めてもらう」
「では、後は自由に」
…この学校の狂い度は、俺も詳しくは知らない。
でも、これだけは言える。
狂っている。
順番に紹介していこう。
まず、1組。『凶悪犯罪者クラス』。
「薙紫です、よろしく」
2組。『連続殺人犯クラス』。
「…チッ…林道だよ!」
3組。『異常身体・五感能力保持者クラス』。
「烏丸だ、よろしく」
4組。『異能力保持者クラス』。
「きららでぇーす!魔法少女やってるの!」
そして5組。『封印』。
「…残念ながら5組の生徒は委員会に出席できない」
「では、自己紹介も済んだことだし」
「解散〜☆」
「えっ」
と、こういう生徒が集まるのが天角学園である。
彼は、委員会しないのかよ!と思いつつ、
HR教室へ戻って行った。