ghost79『僕達はダーク・バランス⑰』
さて、攻撃者は変わって椎名冬空。
できる限りの修行をしたが、
急成長したせいで己の力を過信し、
挙句の果てに相手の得意分野で勝負し、
めちゃくちゃみっともなく負けた男。
しかし、全属性魔法『天変地異』シリーズを使うにはそのみっともない性格が必須である。
彼は変なジレンマを抱えている。
「…」
欠点…?ヘジテイトブレイクに欠点?
そんな物あるわけがない。
封印能力者が相手ならまだしも、
いくら強くてもただの魔法使い相手に、
負ける要因になるような欠点なんて無い!
…というか彼もなんだか困惑してるようだし…
「…まあいいや」
「考えるのやーめた」
「ほら、さっさとかかってきなよー」
椎名冬空は考える。
「…??????????」
欠点?な、なんだ?欠点?欠点?欠点?
欠点なんてあるのか……?あれに?
ダメだ
一旦攻撃してみよう!
「!」
閃光が燃え盛り水が吹き荒れる!
『天変地異』!!!!
なんだ、こんなものか。
ヘジテイトブレイクはビーズを天変地異に。
全てを受け止める。が。
彼の狙いはそこではなかった。
「!」
いない…どこに!
「こっちだよ」
『天変地異』バロン…
「そこか」
【ヘジテイトブレイク】
「!」
「…」
一歩下がって二歩下がる。が、
椎名冬空は弱点を発見する為に攻撃を続ける!
Q、死角はある?A、無い。
『天変地異』アルティメットアイアン!
Q、耐久度の限界は?A、無い。
『天変地異』ヴァリアスヴァーミリアン!
Q、防御速度の限界は?A、ある。
しかしあって無いようなもの。
…これ、無理ゲーだね
えどうしよ
なんかもう強さの次元が違うじゃん
僕はテクニカルな魔法使いのはずだったのに
この人隙がなさすぎるから
僕脳筋になってるじゃん
「…どうしようか…」
携帯にリリーさんの番号があるな
「ダメだ!」
また僕は誰かに頼ることを考えてる
「さっきからブツブツどうしたの?」
「早くかかってきなよ」
「…ごめんちょっと待ってね」
僕は…
もう何かを教えてもらっていい年齢じゃない
そして…
自分の敵は…自分で倒さなくちゃならないんだ
「…暁さん」
「ん?」
「僕は今から本気の一撃を使うからさ」
「君は弱気でもいいから耐えてくれるかな?」
「いいよ」
「よし、じゃあいくよ」
杖を構える。
彼もまた、やっと魔法使いらしくなった。
が、何やらフォームが変だ。
妙に重心がしっかりしている。
と、その直後だった。
機巧と氣功を併せ持つ白色の大剣が、
ヘジテイトブレイクを貫いたのは。