ghost76『僕達はダーク・バランス⑭』
「もういい」
「つまり貴様の人生は『適当』だな」
「うん、そうだね」
夏枷は小声で指示する。
「ふゆりん」
「この先の戦闘で、私はあの紗里の本気を引き出すつもりでいる。」
「しかし紗里はあの巫槍と同じ性格のようだ」
「それに約束もある、勝負は一対一だ」
「そうしないと本気は引き出せない」
「うん」
「そこで頼みがある」
「もし私が負けたら後は頼む」
「えっちょっ…ユーカ⁉︎」
夏枷遊華が駆け出す!いつの間にか、電子レベルの魔法を集めて作った装備を纏って!
暁紗里はしかし、ため息をつく。
「えー…ちょっと待ってよー」
作られた装備から剣を取り出し!
攻撃が決まる数瞬前!
「私まだ準備中なのに」
「!!!!」
攻撃を…中断!
「あれ?攻撃やめちゃうの?」
そうだ。忘れていた。
この紗里に言い訳させちゃダメだ!
「…紗里、今度こそ準備は出来たな?」
「…うん!オッケーだよ!」
「本当の本当にか?」
「本当の本当にオッケーだよ」
「なら良し」
弱肉強食の剣戟!!!!決まっ
「【ヘジテイトブレイク】」
「!」
暁紗里の手のひらから防御は展開する。
『ビーズ』が、大量に召喚される。
そのビーズはクッションのように働く。
剣が、止められー!?
まさか!馬鹿な!これは電子レベルだぞ⁉︎
分解して飛んでいくはずだ!
なのに、止めた⁉︎嘘だろ⁉︎
それって、
一つ一つそれぞれ防御したってことじゃあ⁉︎
「…なんか、勘違いされてそうだね」
「もしかして私が電子レベルで反撃したとか思ってる?いやまあそうなんだけど」
「これが【ヘジテイトブレイク】」
「何を隠そう、私は基本5属性の魔法使い」
「そしてこのビーズは相手の攻撃に対して最適な形と最適な属性になって防御してくれる」
「だからまあ、魔法使いとしての力なら、」
「あなた達を足して2で割らなかった感じかな」
能力・ヘジテイトブレイクは、
防御系の中で最も迫力の無い能力である。
何故なら、相手が剣なら剣に、
弾丸なら弾丸になって、威力を相殺するから。
彼女のバトルはいつも止まる。
上記を見た者は決まってこう言う。
『いやまてよ』
『迫力というなら』
『吸収系の方が無いだろ』
だがそれは違うのである。
例えば考えてほしい。
一つの格闘ゲームがあって、
自分の攻撃が全く効かない場合と、
自分と相手が全く同じ動きをする場合、
どちらにより迫力が無いだろうか。
「…ま、そんなわけだし」
「久しぶりにやったけど」
「やっぱバトルってつまんないわー」
「誰も彼も、私に勝てないんだ」