ghost73『僕達はダーク・バランス⑪』
カイザー無限連打打打打打打打打打打打打打打
打打打打打打打打打打打打打打打!!!!
「何をするかと思えば本当にただの連打か!」
「いいや!ただの連打じゃ…」
「無いぜ!」
「!」
威力が増した⁉︎およそ16倍⁉︎一体何を…
無能力者では無かったのか⁉︎
「不思議そうな顔してるから教えてやるぜ」
「フェアに!俺も全力になっただけだ!」
そう、能力を使ったのではなく、
ただ肩があったまって来ただけ!!!!
「…が」
「悲しきことよ」
「同じ威力の異能ならば互角に戦えたが」
「やはりそうはならないのだな」
連打が途切れる。
真剣な顔をしている。
烏丸憂には聞こえる。
『ああ、やっぱりこいつも期待できない』
『結局拙者は闇側の人間だ』
『傷つけてくれる人もいない』
『これ以上強くなっても仕方ない』
『まさに拙者は機械で奇怪だ』
『が、それでいい』
『拙者は誰にも何にも期待せず』
『ただ無の中に生きていこう』
『ああ、1人って、独りって楽だなあ』
という、発せられなかった言葉が。
一体どうやったらここまで捻くれる?
…と、最初はそう思っていたが、
「…ダメだな、俺のプライドが許さねえ」
「黎明、俺はお前を救ってみせるよ」
「来い」
「…?」
「斬撃を放てと言ってるんだ」
「次の一撃で、俺の連打は完遂する」
「約束だろ?お前も全力でやれ」
「…」
「よかろう、拙者の受けた傷を全て味わえ」
…なんだこいつは…
普通の者ならば
なんとかして説得して斬撃を止めようとする
なのにこいつは、本気を出させようとして…
「…」
「さんにのいちだ」
「3」
「2の」
「1!」
その瞬間世界は止まる!!!!
…さて。
やればできるもんだな、『擬似時間停止』。
リリー・シエルのお喋り癖のおかげか。
“で!魔法少女の技っていうのがねー!”
“擬似時間停止!って!”
盗み聞きする為にあの部屋にいたわけではないが、これじゃあそう取られても仕方ねえな
まあでもいっか。
ーー私はもう長くない。
ーー今まで厳しく育ててきたが、
ーーそのおかげか、お前は最高の息子だ。
ーーー少し意地っ張りなところがあるが…
ーーー私は信じているぞ。
ーーーお前はその力と速さで、
ーーーたくさんの人を救うと。
ーーー…お前が誇らしい。
…お前が生まれてきてくれてよかった。
ありがとう。
自慢の息子だ。
母さんを頼む。そして、
お前はもっと良い父親になるんだぞ。
…はい。
わかっていますよお父さん。
あなたがいなくなっても、覚えています。
…やっと、人を救う為に戦えるから。