ghost70『僕達はダーク・バランス⑧』
彼らには作戦など無い…
と、思われてそうなダーク・バランス。
まさか。
ダーク・バランスは悪者ではなく、
ただのひねくれ者だ。
きちんと義務教育は受けている。
たまたま強い能力者で、
たまたま両親が犯罪者で、
たまたまこれ以上無い異常思考なだけ。
たったそれだけの普通の人間。
「…って感じかな?」
「自己紹介はこれでいっか」
9月10日。
決戦の日はゆるくやってきた。
なんと、
巫が視聴覚室に乗り込んできた。
「ーっ!?」
「みなさんこんにちは」
「作戦会議中ごめんなさい、巫です」
「…」
「久しぶりですね、薙紫さん」
「僕はずっと貴方と2人で話したかった」
まさか。
このメンツに突っ込んでくるとは。
しかも、
ここには達成使いと封印能力者がいるのに。
ただの能力者である巫に勝ち目は無いのに。
「…みなさん、色々計画してたんですね…」
「ありがとうございます」
「いやあ、しかし良かった」
「日中は人助け部も100%動けないですからね」
「だから日中に来たんですけど」
「それでも最強に足るパーティで良かった」
「で?なんですかこの手抜きは」
言ってることがめちゃくちゃだ。
だが、めちゃくちゃだが、
薙紫紅にとってそれはとても困ることだ。
天角学園の生徒とは、もしくは八千の敵とは、
拳でわかりあってきた。しかし今回、
言論で勝たなくてはならない。
しかし意味不明が相手では、
ああ言えばこう言うのが相手では…
「それはまあいいとして」
「じゃあ一つこの戦いで約束事をしてくれる?」
「薙紫さん以外の人達」
「…何だ」
「僕達のことを考えろ。」
「僕達のことをちゃんと。」
「君達の乗り越える壁だと思うな。」
「僕達を無視するな。」
「僕達は人間だ。」
「君達の糧じゃない。」
「君達の成功の親じゃない。」
「僕達は僕達だ。」
「君達のn番目の敵じゃない。」
「僕達はここにいる。」
「僕達にも人権がある。」
「僕達を1人の人間として尊重しろ。」
「僕達に嫌悪感を抱くな。」
「君達と僕達は平等だ。」
「君達は僕達より偉くない。」
「僕達は君達より無論偉くない。」
「君達が勝ち逃げすることは許さない。」
「君達が負けて逃げることもまた許さない。」
「君達は僕達とわかりあおうとしろ。」
「僕達は君達を論破するけど嫌がるな。」
「君達は戦いに真摯に取り組め。」
「僕達と君達の意見は尊い物としろ。」
「僕達を面倒くさがるな。」
「僕達は自分を曲げないけど対応しろ。」
「僕達はダーク・バランスだ。」
「君達は全力でかかってこい。」