ghost68『僕達はダーク・バランス⑥』
「しかし今回ばかりはどうしても勝つ。」
「強い奴らに」
「今回だけは負けられない」
どよっ、と、クラスが騒がしくなる。
おいおい何言ってんだ?と、声。
「…先日薙紫紅をストーカーしてみた」
「結論から言うとやはり彼は危険だ」
「庵内さんを倒したっていうから強いのだろうとは思ってたけど、まさか戦闘型負荷能達成使いとは知らなかった」
「彼は元教師の利き手の左手をはねとばした」
「銃を撃てなくさせる為に」
「もうだめだ。潰すしかない」
「…⁉︎」
「だからみんな」
「内容は教えないけどとりあえず手伝ってくれると言ってくれないかな?」
貧弱な体に頼りにならない声。
そんな彼が何を言っても、
本来なら冗談だと流されるはずだが、
何かいつもと目の色が違った。
そして思い出した。我らの代表、巫槍は、
『庵内湖奈々』に関することなら、
なんでも真剣だったと。
…が!やはりダーク・バランス、
自分が真剣になったことが無いから、
真剣な人を応援なんて毛頭する気は無い。
なので…
「…お前のことは手伝うと決めてるぜ!」
「私も手伝う」
「余も協力を惜しむつもりは無い」
「拙者にも、任せてくれ」
手伝う。クラス全員とはいかないが、
よりダークバランスを保つ者達は手伝う。
『自己完結』の逆。
理解してくれないから理解しないのではなく、
理解されたくない。
それが、『ダーク・バランス』である。
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と、ここで、1人の少女を思い出そう。
『叶屋 柳』。彼女を覚えているだろうか。
1組所属、技術は『ストーカー』。
天角学園では珍しく、
なんと入学式に出席していた女である。
生徒なのに入学式に出席していたのである。
冗談はさておき、
彼女は今、ある人物とエンカウントしていた。
その人物とは。
「俺だぜ」
「ーッ…」
1年2組の封印能力者
『具現隷骸』林道栄徹
簡単に言うと、勝てる相手ではない。
「…」
やっべー
4組盗聴してたのバレた?
「具現隷骸に限らず封印能力はよ」
「世界を破壊できても割と弱いんだよな」
「…さあ協力してもらおうか」
「俺の野望の為に、お前の情報を寄越せ」
「断れば殺す」