struggle4『封印クライン④』
「でも大丈夫」
「『達成』で与えられるのはたとえ私たちでも防げない…でも、感染することは絶対にない」
「あれ?リリーも紅の力知ってんの?」
「『根拠は』」
「私の能力は【絶対零度】」
「心裏ちゃんの能力は【テレポーテーション】」
「どちらも本気を出せば世界を破壊できる能力」
「そして私達はそれを使いこなせる能力者」
「『負荷能力のカケラに過ぎない力』なんて…」
「体が跳ね返すわ、らくしょーよ」
「ほう」
薙紫紅は冷静だった。
しかし、心の中ではこんなことを思っていた。
こんなに嬉しいことがあろうか!
やっと。
やっと。
やっと俺に近づける人間が現れた!
人生の今まで。
いろんな努力をしてきたけど、
【クリムゾン】を俺から消すことはできなかった。
でももういいんだ。
俺は俺のままで認められた!
と。
そこでクレナイは思い出した。
確かリリーに会った昨日、
『クリムゾンを消せる』って言ってなかったか…?
と。
チラッとリリーの方を見た。
そして、気づいた。
『あったはずの残り1個の刻印が無くなっている』
「…リリー」
「!よしよし、反省したようね」
「ならこれから部活を…」
「お前、刻印はどうしたんだ?」
「…おお、アピールポイントかな?」
時破田心裏がニヤッとする。
「何を隠そう!」
「あたしの能力は【テレポーテーション】!」
「あ、一人称が私からあたしになってる」
「封印の場所を変えたのよ!」
「ねえどう、すごいでしょ!」
「…すごいな」
なんかもうクリムゾンのことはどうでもよくなってきたな
「xyzそして時間軸すべてにおいて制限無し!」
「織田信長を連れてくることも可能よ」
「す、すげえ」
「じゃあそれで封印を解いたのか?」
「…」
「…」
「え?何?どうした?」
「それがねぇ」
「ちょっと違うんだよね」
「ていうか、気づいてなかったの?」
「あなたが封印を解いたんだよ?クレナイ」
「…え、俺?」
「そうよ」
「うーんわかりやすく説明すると…」
私達は風呂敷に捕らえられていて、
封印…そうね、例えばミシンで縫ったとか…
その上糸と下糸のせいで私達は外に出られなかった
これが入学レクリエーションの日のこと
「え、お前らそんなに前から捕まってたの?」
騙されたのよ
で、入学式前日、あなたはこの町に来た
そうじゃない?
「ああそうだ」
じゃあ決まりね
入学式の日、
急に私達が見える下糸の一部分が切れた
あとは世界を破壊する勢いで脱出したのよ