ghost60『俺達はシャイニング・オーダー⑤』
最強とは何か。
それを考えるのは、
実にくだらないことである。
何故なら、最強は一つでは無いから。
クレナイの放った杭は!
閃光共を貫通して、ミハル・ブラウンへ!
肩に、杭が突き刺さる!!!!
「う」
「ぎゃあああああああああああああああ⁉︎」
「リーダー!大丈夫か⁉︎」
「大丈夫じゃない…見たらわかるだろ…」
「な、薙紫紅!!!!」
「《…》」
「それがお前の霊技か…アタリを引いたな…」
「貫通効果を持っているだなんて…!」
「《…『貫通』?》」
「《ねえよ、んなもん》」
「⁉︎」
「《これは『達成』だ》」
「《魂が杭にある以上、達成が発動する》」
「《相手が思考異常でも100%だ》」
「《俺は死ななくなる》」
「《つまり杭を壊す要因が潰れる》」
「《わかるか?》」
「《これはお前の言う不幸せよりもっと不幸せな状況から生まれた最強の一角だよ》」
「‼︎…」
「《はてさてお前らに》」
「《これが止められるかな?》」
構える。(腕を)
燃える。(心が)
回復魔法破壊の準備は整った。
「や、やめろ…!」
「あれを破壊すれば幸福は…!」
「《いい加減目を覚ませよ》」
「《努力無しで幸福を手に入れられる?》」
「《そんな話があるか》」
「ある!あるじゃないか!ここに!」
「ん?…そうか!もう発動するそうだ!」
「俺達はこれから幸せになれるんだ!」
しかし。薙紫紅は見逃さなかった。
これは今までのパターンとは違ったが、
確かに見たのだ。
「じゃあなんでお前はそんなに辛そうなんだよ」
「…!」
「…リーダー…まさか」
「あんた『あの技』を使ってたのか!?」
薙紫紅は発見していた。
楽園思想リーダー、ミハル・ブラウンの、
苦しい表情と、すがるような目を。
「《…何かおかしいと思ったんだ」
「お前、杭で貫かれても平気そうにしてるよな」
「それに、回復魔法が壊されそうってのに笑ってるじゃねえか」
「なあ、シャイニング・オーダー」
「なあ、ミハル」
「お前、本当は何がしたいんだ?」
「…」
「何を言ってる?俺はただ人々の為に…」
「とぼけるんじゃねえぜ」
「俺にはわかる」
「ミハル、お前は不幸になりたいんだろ」
「!」
「正確には、不幸を背負いたい、か」
「くだらねえぜ」
すると、彼は諦めたような顔をする。
「…何故わかった?」
「楽園について…お前は知っていたのか?」
「『たった1人の犠牲』のことを…」