ghost47『殲士駆動⑤』
時破田心裏の弱点。それは、
ただの人間だということ。
同年代じゃ誰よりも戦闘経験豊富な紅、
大魔導士の血を持つリリー、
千年間の人生を送ってきたキャサリン、
博士によりあらゆる苦痛を経験したシモン、
そういう異端と比べると、
時破田心裏は封印級とは言っても野良能力者、
ただ楽しくて楽したくて能力を伸ばしただけ。
漫画が読めれば幸せ
テレポートなら封印じゃなくていい
彼女はこれぐらいの事しか考えてこなかった。
今日も2人ぶっ飛ばさなきゃ、とか、
今日もみんなから褒められる、とか、
そういうことは考えない。つまり、
人生に意義が無い。
もちろん強さにだって意義がないし、
本人もそう思っている。
だから例えば相手がメンツかかってて必死なら、
どうしても殲滅したいと考えているなら、
その感情を知らない時破田は『対応できない』。
対抗できても対応できない。
相手の必死さが本気でわからないというのは、
今回のように実力差が無い場合、
命取りになる。
薙紫紅はまさにその逆、
人の感情を嫌なくらい感じてきた。
だから口癖は『これもパターン』なのだ。
合計4発。
雷の球体はテレポートで逃げるより先に当たる。
それは『延』弾。能力は、
能力発動を遅くする。
「…4発当たったな…」
「まあその間に俺も4発ほど当たったが…」
テレポートで使わなかった球体を当てる。
しかし、それも4発が限界。
1発でも時破田に球体が当たった瞬間、
固有能力のほとんどに1秒のインターバルが生まれる。そして、その1秒で球体を消せばいい。
封印でもなければ、消せばテレポートできない。
だから、
対抗できる時間は1発目が当たる数瞬だけ。
与えられるチャンスはここしかない。
これがプロとアマの差である。
…しかし。
プロを見てきたアマは、ただのアマだろうか。
将棋の名人の対局をたくさん見てきたアマは、
全く見ていないアマと同格だろうか。
否、そんなわけはない。
現に時破田心裏はカウンター攻撃してみせた。
時破田心裏はただのアマではない。
だから相手に、
『甘く見た』という敗因を与える事ができる。
4発と4発、効果は同じ、
つまりインターバルは実質無しだ。