ghost36『俺達はシャイニング・オーダー❷』
「あやつは人生そのものがサバイバルじゃ」
「まあ、きっと引き分けるじゃろ」
跪く。いいや、跪かない。
薙紫紅に逆らってはならない。いいやそんなことはない。しかし一理ある、逆らってはならない。いいや如何なる場合でもそれは間違いである。結局の所負けておいた方がお後がよろしい。しかし、これは試練だから途中でやめるわけにはいかない。
「《傅》《け》」
「うぐっ…ぐううううっ!」
「いやー、人の土下座ほど見たくない物はない」
「俺まで屈辱的な気分になる」
「でもあんたらが悪いんだぜこんなことして」
「全くよぉ」
こ、この男…多少頭が回るだけかと思ったら…
霊技が通用しない!なんだ…この力は!
…この男本体の見極めからだ。
やはりこの意味不明な力を除けばただの人間…
…ではない!
適正は無いが魔法を一つ所持している…
ということは、これは負荷能力か!
なんと…
「最近できたうちの仲間は優しいからよ」
「俺の傷も一瞬で直してくれるが…」
「それでも痛覚がなくなるわけじゃないんだ」
「俺だって人間、ちゃんと痛いんだぜ」
「というわけでこれから同じだけ痛めつける」
「こ、これほどまで…」
「ん?」
「これほどまでに『霊技』に向いている人間がいるとは!」
「…あそうだな、それを覚える約束だっけ」
「よろしい」
「ついてきなさい『鍾乳洞』へ…」
「君は変わるべき…いや、変われるんだ!」
「おちつけよ婆さん」
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「やはり来たか、くれない」
「ほれ」
傷がみるみる治っていく。
治癒の魔法第6662『キッドヒール』。
「ありがとう」
「ここから下は少しずつキツくなってきます」
「薙紫紅さん、あなたはここまでです」
「えー…」
「でもさ、多分行くことになるけど」
「え?」
と、その時。謎の閃光が紅に直撃し、
その閃光は大穴を開けそこに紅は落ちて行く。
「…え?」
「まあ、いつものことじゃ」
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その後、紅は最下層まで落ちていった。
「痛い…痛いよ…」
「死ななきゃいいってもんじゃねえぞ…」
「あーあこれ左折れちゃったかー」
「ん?」
そこで見たものは。
「…これ…死体か?」
「もーう驚かないぞー…ってあれ?」
「…まだ呼吸がある…?…」
「…おい!大丈夫かあんた!」
よく見れば、周りにも人が倒れている。
「…一体誰がこんな…」
この時紅は気づいていなかった。
実はこの邂逅が、
人助け部と彼らの戦いの火蓋を切ることを。
「やはりな…怪物を隠し持っていたか」
「これは明確な協定違反だ」