ghost33『ふゆりんとかわいい私⑲』
「で!でも!」
「分身を作ったからなんだってんだ!」
「僕はもう弱くない!」
「君に見せる隙も無いしパワーも負けない!」
「君は醜く足掻いてるだけだ!」
「ああそうだね」
「絶望的に強くなってるね…でも私はそんなふゆりんに負けないように特訓をしたんだよ」
「だからやっぱり私に勝つことはないのさ」
「そして醜く足掻くのは大得意になったよ!」
ダッと、夏枷がむかう!
「ぐっ…」
落ち着け…何も焦ることは無い…
パワーでも勝ってる、スピードでも勝ってる、
僕は勝ってるんだ!だから…
「僕は負けない!」
「私は負けたくない!」
弱肉強食『ダーティハート』!
天変地異『カオスカイザー』!
「…なん…で…」
「ばっかねー。対策ぐらいしなさいよ」
「対策は…した…なのに…魔力反応が起こらないくらい小さいはずなのに…焼き払えなかった…」
「真っ向勝負したのね」
「うん」
「私の得意属性で勝ちたかったんだ」
「うん」
「でも、それが災いしたんだ」
「うん」
「ふふ…なら、それを忘れないことよ」
「これは受け売りだけど」
「醜く足掻け!」
「君は醜くなんかないから!」
「!」
「…なんてね」
「本当は犯罪者向けの言葉らしいけどね」
「今のあなたにはぴったりじゃない?」
「私はあなたに…私に勝ってほしいな」
「そして、隙じゃなくて好きを見せてほしい」
「…」
「まあ、なんにしろ…」
「私の勝ちね!」
歓声が上がった!
天変地異に、少女は勝ってしまったから!
天角学園の少ない生徒数からは考えられない、
大きな歓声の中には、
椎名冬空を育てた者達の声もあった。
「…私の…いや、私達の負けね」
「さすが下克上に慣れてるだけの事はあるわ」
「綺麗な少女に醜く足掻けだなんて」
「普通は出てこないよ」
「はは…まあ、俺ァちょっと特殊だけどな」
「だけど勝ったのはあいつだぜ、リリー」
「俺はあいつを尊敬するよ」
「そうね…」
「ところでさ」
「負けた方はなんか奢るんだったよな?」
「えっ…そんな約束してないけど?」
「えー言ってたじゃーん」
「嘘ぉ」
「…まあそれは嘘だけど」
「夏枷になんか奢ってやってくれや」
「俺ちょっとこの後用があるからよ」
「ふーん…わかったけど」
「クリムゾンで呼ばれたの?」
「キャサリンの時以来無かったのに」
「ああ…ちょっと今回はヤバい感じがする」
「俺が出るしかないんだろ」
「…?」
「まあ、頑張って」
ーーーーー
「…では2人の入学手続きは完了…」
「教室は1階の1-4だ」
「「ありがとうございます!!」」