ghost29『ふゆりんとかわいい私⑮』
「『轢き殺す』!!!!」
「⁉︎」
トラックが椎名冬空に突っ込む!
「て、『天変…」
違う!こ、この位置がヤバい!
ドズンッ
ーーーー午後12時ーーーー
「おめでとう椎名冬空」
「見事確かに今、00:00分だ」
「1日、よくぞ逃げ切った」
「あ、ありがとうござい…ます…」
「よし、まずは呼吸を整えようか」
「やってみてどうだった?」
「…」
「僕はまだ手加減されなければならなかった」
「そしてされてしまった」
「自分の弱さを痛感しました。」
「うん、それでいい」
「…と言いたいところだが」
「?」
「それは今回の修行目的とはちょっと違うな」
「…俺達がお前に知って欲しかったのはな?」
「『心の強さ』だよ」
確かに彼らは心が強い。
ここにいる30人、善悪を問わないのなら、
みな立派に自分の意見を持っている。
薙紫紅によって殺しをやめた今も。
「心…ですか」
「ああ。お前もわかったろ?」
「本来異能の力に普通の人間は敵わない」
「しかし『殺意』を浴びた力を持つなら別だ」
「椎名、お前は自分探しの旅に出るべきだ」
「最も強くなりたいのならな」
ーーー朝ーーー
「じゃあ、貴方も今日から自主練よ」
彼はリリーにそう言われて部屋を出ると、
すぐさま天角学園三階へ向かった。
三年生の手練れ達と戦うつもりだ。
一方夏枷遊華は継続して自主練中である。
時間はどんどん過ぎていく。
ーーーーーーーー
「…暇じゃのう心裏ちゃーん」
「そうねぇ」
「…暇じゃようシモンくーん」
「そうですねぇ」
「でも昔の遊びはやり尽くしましたしねぇ…」
「昔のとはなんじゃ」
「…あれ?そういえばそろそろ一週間か」
「決戦は明日じゃのう」
「2人はどっちが勝つと思いますか?」
「…うーん」
「あの男の子は三階を回ってるらしいね」
「実戦経験は貯まりに貯まるはずよ」
「あたしはそっちかなー」
「では妾は逆に300円じゃ」
「ええ…賭けですか…」
「じゃああたしは600円」
「ええ…結構思い切りますね」
「まあ、僕も一応育てたんだし…」
「椎名君に200円にしときます」
「…シモンさぁ」
「敬語やめてくんない?」
「これは癖なんです」
ーそして、一週間後決戦の日ー
「…おいおいあいつ」
「目がいかれてんじゃねえか」
「リリー・シエルお前なんてことしたんだ」
「私はそんなに何もしてないわよ」
「ただあの子は自分で色々したみたいね」
そう、勝つためにはなりふり構うな、だ。
三年の先輩方と勝負して実戦経験をつんだ。
ユーカ君なんか、
もう僕の足元にも及ばない…