ghost12『レゾナンス・デスギア⑫』
「《…おいやめとけよ》」
「《殺し合いだけはやめとけ》」
「《お前達は勝てないよ》」
「…いいや勝つ!」
「レミ!」
「スクリームサンダーを部屋に充満させろ!」
「そしてワイヤーに浸透させろ!」
「僕のワイヤーなら…デスギアなら!」
「ゼロ秒で攻撃できる!」
「はい!」
「《論外。》」
ーーーーーーーーー
「……ダメか…!」
溶解は止まったが…心臓が動かない!
『支配者のデスギア』じゃ…できてここまでか!
クソッ!『始まりのデスギア』があれば…!
…『生贄のデスギア』は問題外だし…
…そもそも博士に抗えるはずがなかったんだ…
ウィールス博士はただの異能を封印能力にまで引き立てるようなお方…
薙紫紅がスタートを倒すことも計算内だろう…
その上で博士は絶対に何かを成し遂げている!
…ダメだ…これは叶わない…
『封印能力』を作る…博士には勝てない…
「…だが」
「あいつの頼みだ!」
「お前だけは守ってやるからな!」
「サクリファイス!」
その後ろで。
29歳の誰かが意識を取り戻す。
そしてゆらりと立ち上がる。
「『蘇生はできる』と奴は言ってた…」
刃を取る。
「僕が形を保てばなんとかなるはずだ!」
グザッ
「…え?」
「ご愁傷様」
「『支配者』、『最後から一つ前の生贄』…」
「ウィールス…は…か…」
ドサッ
2人のシモンが、溶けていく。
「…念の為…」
「サイボーグ化しておいてよかった」
「…あの野郎は絶対に許さん」
ピッピッ
「…ああ私だ」
「『最後の生贄』を用意しろ」
「ああ」
「研究結果がでる時が来た」
ピッ
「…ふふ…しかぁし!」
「情けない姿だ!シモン・ルーラー!」
「いやあ反抗するように作って正解だった!」
体の半分以上が溶けている。
シモン・ルーラーはもう死ぬであろう。
「こんなエンターテイナーだったとはな…!」
「…はか…せ…」
「ん?なんだ?言いたいことがあるのか」
「なんだ?言ってみろ!」
悔しいことだが、
シモン・ルーラーはこの時やっと、
『人間』になれた。
作られた反抗以外で、
作られたプライド以外で、
確かに、確かな自分を見つけたからだ。
もしかしたらそれは勘違いかもしれない。
しかし今の彼には勘違いで十分ーーーーー
ーーー勘違いでこいつを殺せるから十分!!
「を…逆転する…!」
「…」
「⁉︎」
「お、おま、」
「…はかせ…」
「……の…ぶぁーか…」
「お前えええええええええええええ!!!!」
「ま、まだか!『最後の生贄』!」
「早くしろ!早く!」
「早くしろおおおおおおおおおおおおおおお!」