ghost11『レゾナンス・デスギア⑪』
「そ、そうですよね！」
「なんせスタート貴方は封印能力者…」
「違うよそうじゃない」
「レミ、よく考えてみろ」
「『酷い環境にいたから最強になった』」
「そんな都合のいいことあると思うか？」
「…たしかに…ないと思います」
「だよな、それが正解だ」
「境遇のせいで強くなんてなれるはずがない」
「達成使いというのは…」
「ただ適応できるようになっただけだ。」
「適応する…」
「例えばこの薙紫紅」
「普段から殺し合いをせざるを得なかったから殺し合いに適応し、絶対死なない達成を手に入れた」
「しかし殺し合いをする相手に能力者がいなければ彼はこんなに強くはなかっただろうな」
「最強は最強でも条件付き最強ーーならば」
「殺し合いと質の違う戦いをすればいい」
「質の違う戦い…？」
「そう、一番簡単なのは…」
「殺さない『試合』」
「まあ、ルールに弱いんだよ彼は」
「…でも…」
「薙紫紅が殺し合いを始めたらどうなんです」
「その時はまた無敵になるだろうな」
「…だが」
「彼は達成を除けばただの高校生…」
「悪が好きで中二的なただの高校生…」
「人を殺す気にはなれないだろうよ」
「…」
「まあその程度ということだ」
「さあ、彼を天角学園に戻してやれレミ」
「《だーれがその程度だって？》」
「！」
「ま、まさかこいつ…」
「案ずるなレミ」
「既に死ぬ直前まで痛めつけた」
「まだ立てるのは驚きだが気にすることはない」
「軽い打撃を加えれば気絶するはずだ」
「はい！うぉおおおお！」
がしかし。
「ぐああああ⁉︎」
「‼︎…」
達成を使ったようでもなく、
ただただ体術で、
白湯奈レミは吹っ飛ばされた！
「《…自体は悪化したように見えて》」
「《好転していた！俺は勝利できそうだ》」
「な、薙紫紅！一体何を…⁉︎」
「…なるほど…」
「死ぬ直前まで痛めつけられた薙紫紅にとって」
「これは殺し合いということか！」
「！」
「《そう！》」
「…迂闊だった…だが！」
「例え達成が発動しようとそれは回避系！」
「レミを吹っ飛ばせるわけがない！」
「《『殺し合い用』なのは達成だけじゃない》」
「！…殺人術…！」
「《まあ、そういうことだ》」
「《お前は合理的に動いたようだが…》」
「《どうやらそれは間違いだったみたいだ》」
「…ぐっ…」
彼にとっては、初めての体験だった。
何故なら『デスギア』の効果は逆転…彼は、
敗北を勝利に変えてきた。
「《…どうする降参するか？》」
「…レミやれるか！？」
「はい…いけます！」
…もう容赦はしない！
