Chapter11『達成使いは夢を見る⑪』
ーなるほど。
「流れに争っているつもりでも…やはり貴様に行き着いてしまうのか」
「あんたが都賀生命か?」
「ああ」
「『檻』とやらはどこだ」
「さあ、どこだろうな」
「言えよ」
「言うわけがないだろう」
「じゃあ、俺の実力を認めてくれてんの?」
「まあ、そうだな、しかし」
「認めているのは実力というより経歴だ」
「貴様は5歳の頃から1日に2度のペースで大事件に関与し…その全てを乗り越えてきた」
「結果が認められないこともあって2000件の冤罪があるが…その冤罪の数が貴様の能力の強さを証明している」
「使ったのは【クリムゾン】じゃない」
「では、『達成』の方か?」
「ああ」
「俺の『達成』は『感情無効』」
「人間であるかぎり、俺には攻撃できない」
「ほう、恐ろしい物を身につけたんだな」
都賀生命はよく計算する男だ。
ここは3階の踊り場、彼の『黒魔術』が充分発揮できる見晴らしの良い場所である。
「!」
日本刀を用意した。
刀に、禍々しい何かが纏われる。
「これは『黒魔術』というものだ」
「『黒魔術』は本来『呪い』が中心の技術でな」
「これを刀に乗せたら強いと思ったんだよ」
「やってみろ」
「じゃーーーーー」
刀が動く!狙うのは、この校舎全体!!!!
薙紫 紅に攻撃が通らないというなら、
生き埋めにすればいい!
「【黒刀】!」
「さようなら薙紫君!」
都賀生命は脱出する。
そして、第3校舎は崩れ、跡形もなくなり、
山となった。
「…校舎ひとつだ」
「3階踊り場で足場から破壊した…奴は2階に落ちて、3、4階の重量で上から潰してサンドイッチ…」
「これで死んでなければ人間じゃないな」
「あなたもそう思いませんか?」
「『檻』優太先生」
エスケープを捕まえる『檻』が、
どこからもとなく現れた。
「ええ…そうだねー」
「しかし都賀先生…理事長の右腕であるこの私を初めて使うのがまさかあんたになるとは…」
「お手を煩わせてしまって申し訳ありません」
「『薙紫 紅』は我々裏の業界では少々有名でして」
なんでも、
どんな事件に関わっても必ず生還する
ことが売りなんだそうで。
しかし、
「こうなってしまっては失望しか残らないですがね」
「はは…私を使うことは気にせんでいい」
「だが」
「そんな奴がこんな程度で死ぬとは到底思えないな」
「…?」
がら…
「「!」」
「ほらな…やっぱり生きていただろう」
「まさか…馬鹿な!薙紫 紅!」
傷ひとつ…負っていないだと⁉︎
「…これも『パターン』…」
「都賀先生、こいつ、強いぞ」