ghost4『レゾナンス・デスギア④』
「僕には無理だった」
「あいつは『核』に繋がっている」
「…核…?」
「そう、それこそがシモン・スタート」
「僕たちの元になった核…だ」
ーーーーー
「…」
この場所に連れ去られてから…
どれくらい経っただろうか…
恐らくは三ヶ月くらい…
思い出せそうだ…あの時…
そう、あの時、
天角学園に入学する為にこの阻害地区に来て…
誘拐されたんだ。
しかし、これでよかったのかもしれない。
僕は本来天角学園に呼ばれるような人間だ。
『この能力はどうせ封印しなければならない』。
ーーーーーー
「彼は…ではなかった」
「僕は封印能力者だ」
「能力『デスギア』」
「真似事なら僕にもできるが…こんな風に」
シャッ
「世界中のどこででもワイヤーを召喚できる」
「超能力…これに触れた物は逆転する」
「逆転?例えば?」
「生と死」
「‼︎」
「…で、その博士って奴がそれを使って世界征服でも目論んでるのか?」
「いいや」
「博士は『可能』が欲しいらしい」
「なんでもできる人間になりたいらしい」
「…なんて迷惑な…」
「最低の野郎だね…どうする紅…」
ニタァ…
「「えっ」」
「…いやいやよかったよかった」
「そんな人間らしい願いを持ってる人間で…」
「クリムゾンを使わなくていいし」
「何より『反省させられる』心がある」
「…というわけで」
「こういう件は俺のような奴に任せてくれ」
「さあ行くぞルーラー!」
「お、おう…」
「く、クレナイ!」
「…大丈夫よ、ほっときましょう…」
「…なにやら」
「いい予感と悪い予感がするのう…」
「え?」
「うんにゃ、なんでもない…」
ーーーーー
「ここか」
「はい」
「…よし」
「俺はその博士とやらを探す」
「お前はサクリファイスを頼む」
「はい!」
こうして二手にわかれた2人は、
二度と会うことはなかった。
ーーーーー
「…っ…」
「これはまた…」
「えげつないのをつれてきたな…あの餓鬼め」
「まあ、いいだろう」
「作戦は2つあるんだ…」
「どちらかが当たればいい」
ーーーーーー
「…!」
「さ…」
「サクリファイス!」
『彼』は、また倒れていた。
「クソッ!またこんなにしやがって…!」
どろ
「…⁉︎」
「体が…溶けて…⁉︎」
「いかん!どうすれば…」
「…もういいですよ…」
「!」
背後に。倒れているのと全く同じの、
シモン・サクリファイスがいた。
「シモン!」
「…軽々しく呼ばないで下さい」
「薙紫紅さん」
「帰るぞ!お前の家に!」
「…いいえ」
「僕はもう諦めました」
「何⁉︎」
「もういいですよ、一生実験台になります」