ghost2『レゾナンス・デスギア②』
「リリー!魔力反応は!?」
「だから充満してるって言ってんじゃん!」
「そうじゃない!人のだ!」
「…無い!」
「…俺の方もだ」
「クリムゾンはほんのちょっとだけ操れるが…」
「だれも『かからなかった』」
「と、とりあえず持って帰ろ…!」
ーーーー部室ーーーー
「…うーむ結構な重症じゃが」
「これ治せないのじゃ」
「…えっ?」
「いやお前絶級能力者…」
「そうじゃ…しかし…シモンといったか?」
「こやつは『これで完成形』なのじゃ」
「…っ⁉︎」
「この傷も足りない腕も『元々』なのじゃ」
「…元々って…」
「…なんだよそれは…」
「腕はともかく!生まれた時からこんな切り傷だらけの人間がいるわけがないだろ!」
「妾にもわからん!」
「…それってさ」
「わかっちゃったかも、あたし」
「?」
「何の話をしてる?時破田」
「『ダメージ加工』だよ」
「たとえ綺麗にうまれてきていたとしても」
「『ダメージ加工』されたらそれが完成形だ」
「能力じゃ治療できない」
「…おいおいそれってよ」
「うん」
「人間には通用しないことよ」
「ってことはこいつ…」
「…『人じゃないのか』…?」
「…『誰かの所有物なのか』…⁉︎」
ーーーーー
結局。
これから学校に泊まることにした。
夏休みの合宿という体で。
とりあえずシモン・サクリファイスの医術的治療が済み、原因をぶっ倒すまではこのまま…
が。しかし。
予期せぬ事態が発生した。
「え…⁉︎」
「あいつどこいった…⁉︎」
「…まさか主人の元に…?」
「クソッ!【クリムゾン】!!!!」
…いた!
そこは、廃墟街。
ちょうど、『自己完結』達が住むような場所。
ボロボロの少年はゾンビのように歩いていた。
「おい!」
「…」
「何勝手に外ほっつき歩いてる!」
「…聞いてんのかシモン・サクリファイス!」
「…」
「ほら!帰るぞ!」
「全く…お前が助けてっていったんだろ?」
「それじゃあもうちょっと助けられr」
だが。
少年は何かに怯えていた。
「…おい」
「大丈夫か?シモン」
「…ぼくに…」
「僕に価値は無い」
「…え…?」
薙紫紅がその後一度瞬きすると、
手を繋いでいた小柄な少年は、
まるで最初から存在してなかったかのように。
風のように消えてしまった。
ーーーーー
「消えた?」
「ああ、消えた。」
「俺は確かにあいつの手を持った」
「『だが消えたんだ』」
「…攻撃はされてない…」
「クリムゾンにも反応はなかった」
「そして突然消えた…これは…」
「消える為に生まれたってこと…?」