scrum34『禁断を追え⑤』
「お前は人助け部4人目の部員だ!」
「おーけー、おーけーじゃ」
「…しかし何故妾を連れ戻そうとする?」
「聞いておきたい」
「…俺は最近天角学園を粛正すると決めた」
「お前も生徒だからお前も仲間だ」
「エスケープは許さん」
「…しかし…」
「墓参りなら仕方ない」
「だから監視に来たんだ」
「…ふぅん似ておる」
「朝登君と仲良くできそうじゃの」
「その朝登君って理事長先生のことか?」
「もちじゃ」
「須川朝登」
「…は偽名じゃが」
「朝登君が一番使っていた名前じゃよ」
「…理事長先生の事を色々教えてくれないか」
「それはできぬ」
「本人が隠している事を言えるか」
「だよなぁ…」
「がしかし」
「もう1人の事なら話しても良いぞ」
「…」
「『もう1人』?」
「うむ」
「我ら仲良し3人組の『もう1人』…」
「リリー・シエルの母親の兄について。」
「…母親の…兄?」
「ああ」
「あやつはとんでもない奴だったぞー…」
「妾と同じ絶級能力者じゃった」
「…詳しく聞かせてくれ!」
「うーむ…」
「しかしそんなに話すこともないのじゃ」
「あやつはわかりやすかったからな」
「そいつの名は『ガティア・シエル』」
「能力は『フォーチュンブレイカー』」
「フォーチュンブレイカーはなんでも消滅させられるまさに最強の能力じゃ」
「ん?」
「でもさ、それをコピーすればいいじゃん」
「そうじゃ」
「だからガティアは最強ではない」
「しかしフォーチュンブレイカー…」
「『未来潰し』は最強じゃ」
「使用者が人間でなければコピーなどできん」
「ここ千年程生きてきたが。」
「達成使いとまともに戦える能力はあれしか見たことがなかったのう」
「それでもわからないぞ」
「リリーの『絶対零度』だって未来は潰せる」
「違う…そこは問題ではない」
「問題は『神に触れる』という所じゃ」
「…?」
「わかるか?神じゃ」
「神の上に魔神とか超神とかいないぞ?」
「実際の神じゃ」
「…あの宗教とかの奴?」
「まさか!」
「確かに創造主とも言えんことは無いが…」
「あれは人間の想像にすぎん」
「もっと高尚じゃ」
「うーんそうじゃな…」
「例えば」
「ビッグバンから宇宙はできたが」
「ビッグバンという概念を作ったのは神じゃ」
「…最初から存在していた絶対というやつか」
「そう、それじゃ」
「鶏と卵はどちらが先に生まれたか」
「それはわからん」
「しかし、作ったのは神じゃ」
「…でもよ」
「それなら桜原の…」
「まーだそんなことを言うか!」