scrum32『禁断を追え③』
「ダメです…魔道士部隊が手も足も出ません!」
「それでも絶対に捕えろ!」
「どんな小賢しい手を使ってもだ!」
「隊長」
「奴はかなり細かく魔法を持っています」
「こんなことができるのはせいぜい…」
「うむ…本場の魔女ぐらいであろう」
「いや、魔女でもできるかどうか…」
「しかし、キャサリン・ヴァルキューレは…」
「そう、妾は日本生まれの日本育ちじゃ」
「‼︎」
「う、撃てーッ‼︎」
ズダダダダダダダダダダダダッ‼︎
「しかし妾の能力は『サバイヴリンク』」
「コピーする能力じゃ」
「一度魔女に会ってしまえばいいのじゃ」
「もう聞こえてないかのう」
「そのまま日本に帰るまで寝ておいてくれ」
「…」
「どうして今になって?」
妾が追われる理由ははっきりわかる。
それは妾が奴らの言う所の『禁断の術』とやらをいくつか持っているから…
それは封印能力より強い能力、
『絶級能力』
早い話が全能じゃな
なんだかんだ言って、
『封印能力者』も『達成使い』も、
実は世界中にいる。
しかし、『絶級能力者』は10名しかいない。
この地球が生まれてから、たったの10名。
そのうちの5人が妾で、
そのうちの1人が朝登君で、
そのうちの1人の墓が天角学園とここにある。
あとの3名は知らないが…やれやれじゃ
世界を滅ぼせる能力よりも強く、
本人ですらどうしようもない呪いも解けて、
「そんな全能でも」
「達成使いには勝てないのじゃ」
「世界中にたくさんいて」
「希少価値が低かったとしても」
「これは悲しいことじゃなあ?」
「くれない?」
「…まさかこんなに早く会えるとはな」
「キャサリン、俺はクリムゾンでやってきた」
「そうかそうか」
「なら、知るべきなのかものう…」
「?」
「ついてくるがよい」
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「『絶級能力者』?」
「うむ」
「簡単に説明すると」
「負荷能力より強い封印能力じゃ」
「そんなのがあるのか」
「あるのじゃ」
「…しかし…」
「封印能力でも十分全能だと思うが」
「いいやそんなことは全くない」
「全然違うんじゃよ能力としての格が」
「そうじゃな例えば…」
「桜原棘君の『絶対行使』」
「絶対を生み出す能力は一見全能にみえるのう」
「しかし」
「絶対行使を小さな頃から使ってきた桜原君でさえ、あれを使うのには一苦労するそうじゃ」
「しかし絶級能力にそれはない」
「絶級と封印の一番の違いは苦労の差」
「体があるように、能力があるのじゃ」