変○戦隊コンブロン
ある寒い日、こんな事もあった。
「お兄ちゃん、コンブロして」
コンブロとは何だろうか。コンバットブロックだろうか。しかしここは平和な日本だ。戦闘区画の意味ではないし。
コンクリートブロックの略だろうか。いやしかしコンクリートブロックをして欲しいと言うのは何だろうか。
妹よ兄は無機物にはなれないぞ。そもそもコンクリートブロックは重いし、足にでも落としたら大変だから変なもので遊ぶのは止めなさい。
僕がそんな事を注意しようと考えていると、妹が後ろに隠していた袋を差し出してきた。
……何々? 北海道産利尻昆布。
「これはなんだい?」
キッチンにあったであろう、出汁昆布の袋を得意気に掲げている妹を見て僕はため息混じりの質問をした。
「お風呂に昆布を入れると肌がツヤツヤになるの!」
……妹よ。どこでそんな知識を仕入れてきた。お兄ちゃんはお吸い物になる勇気は無いぞ。
あ、浅間さんが後ろで苦笑している。何でも詳しく聞くとお風呂に昆布を入れる、つまり昆風呂の存在はあるらしい。
「勿体無いから一枚だけね」
「うん! 解った!」
僕の言葉に妹は嬉しそうに返事をして出汁昆布の袋を持ったままお風呂に持っていった。
おそらく僕の一枚だけと言った言葉は妹の頭からスッポリ抜けているんだろう。
……その後、磯の香りがするお風呂に入る勇気が無くてシャワーだけで済ませた僕は悪くないと思う。
余談だが、父がお風呂に入ろうとして大量の髪の毛が沈んでいる! と血相変えて僕の部屋に駆け込んできた。
お乳突け……いや、落ち着け父よ。そして振り子時計の如くゾウさんを揺らさないで欲しい。浅間さんが妹を寝かしつけている所で助かった。女性にはこんな姿は見せられないからね。
布団からシーツを剥いで父に与えてから妹が昆布風呂をしてみたいと言っていたのを伝えると、ギリシャの彫像の様にシーツを纏った父は上機嫌でバスルームに戻っていった。
その後、お風呂についた磯臭さを取るのに大変だったと浅間さんがぼやいていた。
妹よ、何でもやりすぎは良くないと思うぞ。そして梅昆布茶の缶を手に何かを考えるのはよしなさい。嫌な予感しかしないから。
キラキラした目で梅昆布茶の缶を見ている妹はバ……かわいい。しかしそれを風呂に入れるなら全力で阻止する所存だ。
今回新しい話です。
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