僕の妹は
僕の妹はバ……かわいい。
この間メイドの浅間さんとかくれんぼをしていたらしい妹が僕の部屋までやってきた。
「お兄ちゃん、浅間さんが見つからないの……」
見ると洋服のあちこちに土や葉っぱがついている。何処を探したんだ。僕は妹の髪についた蜘蛛の巣を払ってやる。ありゃあ、真っ白い蜘蛛の巣がまるで結婚式の新婦がつけるベールの様だな。蜘蛛が食べ遺したであろう昆虫の脚がくっついているけれど。
「浅間さんが居そうな所は全部探したのに、見つからないの」
「うーん、すぐ近くに居るかもしれないよ。もっとよく探してごらん」
僕は浅間さんにアイコンタクトと、その白い指を唇に当ててシーッと言う仕草をされて口止めされていた為、仕方なくヒントに近い答えの様なものを教えてあげた。後から思い返してみてもウインク似合うんだよなぁこの人。
「うん! 解った!」
妹はそう言うとトテトテと可愛らしい足音を響かせながら走って行った。
……近くに居るって言ったばかりなのになぁ。
僕は妹のすぐ後ろに立っていた浅間さんが悪戯っぽい笑顔を浮かべて妹の後を追いかけるのを見て苦笑した。
たぶんかくれんぼが始まってから彼女はずっと妹の後ろに居たに違いない。その証拠に浅間さんの髪にもキラキラと光る蜘蛛の巣がついていたのだから。
浅間さんの存在に気付かない妹はバ……かわいい。
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