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弌月お前友達(二人)居たのか!(小並感)

 ロリ○ン垂涎な和服ロリを引き連れた、たん瘤付き弌月……いや、実際にたん瘤があるのかもしれない……ロリな壺少女の拳によって……


「はぁ~……何故こんなダメ人間が主なんだろうか……勉強とかしようともしないしなぁ……」

「勉強? そんなもん、紙につつんでくず箱行き。これは決定事項な」

「全くもう……ご主人、伝説の剣探すんじゃ無かったんですか? 勤勉でないと見つかる物も見つかりませんよ?」


 軽いノリのご主人に蔑みを含むジト目を向ける朱壺だが、


「ん? もう位置は特定済みだから心配無用だな~」


 などと、あっけらかんと返す弌月。


「えぇ……? どうやったんですか……?」

「企業秘密、というところで理解してほ……」


 言いかける弌月の口を、顎に拳を放って塞ぐ朱壺。

 主人の口を塞ぐ代わりに天井には穴を開けるのも愛嬌、なのだろうか。


「そういうのは真面目に働いてから言ってくださいな」

「痛いなぁもう……ヨイショ、っと……」


 何とか天井に突き刺さった頭を押し出して抜けさせる弌月、そのまま朱壺の目の前に着地。


「あら、申し訳ございませんご主人(笑)力があり余っていまして」

「いやいや、女の子が言う言葉じゃないよね? それ」

「はいはい、どーせ私は元陶品ですよーだ」

「まぁまぁ落ち着けよ。な? な? 泣くなって」

「泣いてなんていないですよ……」

「そんな泣き顔で言われてもなぁ……」

「元からこんな感じです……じゃ、私洗濯物干してきますね」

「あいよ~」


 頑なに泣きを認めない朱壺が部屋の向こうへと消えていくのを見送ってから、一息つこうとした弌月だったが、自分の部屋のドアがコンコンとノックされるのを聞き取る。


「ティス、いる~?」

(何か聞き覚えある声だけど、面倒だからいないと言っておこう)

「いませ~ん」

「いないなら、遠慮なく上がらせてもらいますね~」


 いないと言ったのに勝手に上がるとかどういう解釈だよ? と、自分が部屋にいる事を自分でばらしているのに気付かない弌月の部屋のドアがバン! と蹴破られ、誰かが宣言通りに遠慮なく入ってくる。


「な、何事ですか!?」


 奥の部屋にいた朱壺が、デカイ音を聞きつけてこちらも負けじとバン! とドアを蹴破って入ってくる。

「ドアは手で開けるもんだろ~」と言いかけた弌月だったが、朱壺が小さな手に洗濯物を抱えているのを見て、これでは手は使えないなと納得したのと、泣きを隠すために部屋に入ったのではなく本当に洗濯しにいったのだと理解した。


「すまないな、ティス……ニムエが言うことを聞かなくてな……」


 一方、無断で侵入してきた誰かは二人組(女)だったようで、次に聞こえた声は最初の声とは声質こそ似ているが口調やトーンが違っていた。


「えぇ~? フィム姉だって行きたがってたくせに~」

「まぁそうだが……ん? 先客が居るようだが……」

「本当だね。ティスって、私ら以外に友達居たっけ?」

「コミュ症で馬鹿なダメ人間で悪かったな!」


 別にそこまで言ってなかったような……という突っ込みも面倒だった朱壺、弌月は放置でも問題無いだろうという、従者としては問題がある認識で弌月をひとまず保留にしておき、侵入してきた二人組を物珍しそうに眺める。

 この二人組、先ほどのやり取りから姉妹であるとの察しはついていた。

 朱壺自体には後から弌月が紹介をするものとして、先に名前を挙げておくと、最初に入ってきたのは妹のエーデル・ニムエ・クーティー。

 白地の肌にふわふわとした薄緑色のショートヘアという容姿で、性格は人懐っこく軽い印象を受けるが、馴れ馴れしいともいうべきか。

 まあそれ以前に、無断で部屋に乱入するというのが馴れ馴れしいという言葉だけで済むのかは疑問ではあるが……

 次に入ってきたのは姉のエーデル・フィムエ・クーティー。

 オーバーオールにした茶色い髪と白い肌の容姿だが、性格的に男勝りな部分があるためか、口調にもその要素が含まれる。

 ちなみに、二人は狐タイプの亜人で、外から見れる狐の耳がピコピコ動くのが何とも可愛らしい。

 この姉妹の会話で弌月のボッチぶりを改めて痛感した元陶器の美少女メイド、冷たい視線を弌月に突き刺す。


「ご主人……ほぼ完璧なダメ人間ですね……頑張って働き先見つけて下さいね……」

「ん? 今『ご主人』と聞いた気がしたが……?」

「確かにご主人って言ってたね……」

「「まさか!」」


 狐っ娘姉妹が弌月と朱壺を交互に眺めた後、何かに気付いたように声を揃える。


「はい、そのまさかですな」

「何か、大変な事になってません……?」


 気楽な弌月に朱壺が不審な目を向けるが、弌月より早く、何故かフィムエが答えてきた。


「そんな事はないだろう」

「だな!」

「「ハハハハ!」」


 弌月とフィムエが今度は示し合わせたように笑い合う。

 そんな二人を、何とも言えないように離れて見るニムエと朱壺。

 ニムエは、朱壺にそっと耳打ちする。


「(君々、あの二人には要注意ね……ティスのお気楽っぷりもだけど、フィム姉も結構気が合うから、ああやって意気投合する事も多いけど、そうなったら大概ろくな事にならないから……)」

「(そうですね……気を付けます)」


 朱壺、これからの先行きが不安になってくるのだった……

 そんなこんなで一時間後、


「……と言うことで、伝説の剣探すぞ~」

「「「エイエイオー」」」


 弌月の、微妙に締まらない掛け声に、朱壺とニムエ&フィムエ姉妹を加えたパーティーは合いの手で応じる。

 ようやく動きがあるかと、少し安心していた朱壺……


「明日からだがな」

「今日じゃないんかい!!」


 ずっこけるようなリアクションの勢いそのままに、弌月の顎めがけてアッパーを繰り出しては弌月の体を宙に浮かし、姉妹から拍手が送られるのだった。



 ※  ※  ※  ※



 そして、翌日……


「今度こそ、行くぞ~!」

「「「オー!」」」


 昨日からの続きのように、掛け声と合いの手の後、弌月達は部屋を出る。

 余談だが、弌月は自分の名前がティスから弌月に変えた事を伝えた。

 名前の変更はともかく、弌月という名前のセンスには首を傾げる姉妹だったが、深くは突っ込まない事にしたらしい。


「そういえばニムエらは、いつからこっち来てんだ?」


 旅に必要な道具を取りに倉庫に入った弌月が、物を探しながらニムエに尋ねる。


「2日前からだけど?」

「最近か……」

「そういう弌月こそ、いつから朱壷と同居しているのだ?」


 フィムエがアウトドア用のテントを持ってきてから、逆に弌月に尋ねる。


「昨日からだが?」

「最近だな」

「そうだぜぇ?」

「そうなのかぁ?」

「「ハハハハハ!!」」


 何がツボに入ったのか定かではないが、倉庫内に弌月とフィムエの笑い声が響く。


「こんな主は嫌だ……」

「こんな姉は嫌だ……」


 逆に、朱壺とニムエはこんな二人で大丈夫なのかという不安が増していく。

 オパールに貰った古代文字の本に挟まっていた地図、倉庫から引き出した2日分の食材と着替え、テント等のアウトドアなものをリュックにまとめて、いざ出発! のはずだったのだが、ここで別の問題が発生。


「俺の着替えしか無いな……」


 と弌月が気付く。

 弌月は立ち止まり、一人7000zを即座に渡し、自分の衣類と欲しい物を買ってこいと言って見送ったのだった。

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