表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

壺の擬人化は可愛い説あるぞこれ

 時は光の国「ルーク」の首都、アークと呼ばれる場所……

 この世界の中心点、ルーク最大のギルド「ルーククロニクル」の南側第3探索隊の隊員がとある地図を……

 西側第3探索隊が錆び付いた兜と鎧を……

 東側第1探索隊が古代文字で書かれたページの紙が何枚か破れている本を発見した8週間後……

 古代文字で書かれた本がルーククロニクルの考古学者達によって解読された。

 内容は色々なモノの作り方や技術、何がいつ起きたか、などと現在証されていない出来事や技術が記されていた。

 そしてとある「剣」が存在するとも……

 そこで「頭はともかく強さだけなら推薦可能」という、褒めディスりな理由で、ルーク・ティス・フレイヤが選ばれ、呼び出される。

 内容はオパール副隊長に、


「とある剣を探し出してもらいたい。まあ、お前なら何とかなるだろう」


 などと、安直極まりない理由で非常に面倒な事を押し付けられる。

 ティスは、前払い的に何か3つ願いを叶える壺と引き換えに受けるのだった……



 ※  ※  ※  ※



 ティスは早速貰った壷で願いを叶えようとするのだが……

 まずは試しに、「3つじゃなく無限に叶えて」と願ってみるが、壺から〔無理……〕と拒否られたような気がしたので、ここは大人しく3つで妥協することにした。

 3つしか願いが叶えられないという事で真剣に考えるティスだった……のだがこの男、強いだけが取り柄で頭がお釈迦な事で有名なハンターなので、何故か「名前を変えたい」と今世紀最大の「は?」が出そうな願いを思い付き、その願いを壺が叶えてしまう。

 よって、「ルーク・ティス・フレイヤ」は、「弌月」と如何にも厨二臭い名前へ変わってしまうと同時に、国籍が二つになってしまう。

 何故国籍が二つになるか? というと、国の名前は絶対に名前に入れなければいけないというこの世界(無の国を除く)の掟があるから。

 そのため、名前を変える事は特別な事情が無い限り変える事は不可能とされる。

 そうは言うものの、この世界において名前を変えたいという事は叶えたい願い事ランキング第7位とも言われている。

 ……どこの集計でのランキングかは、この際置いておこう。

 とは言え、母国に居る時は元の名前で居るのが掟でもある。


 それはともかく、ティスは己が名を「ルーク·ティス·フレイア」改め「 弌月(イチヅキ)」と 改名(つけたし)


「で、第2の願いは……5000万zを下さい」


 〔普通ダァァァァ!〕と、何故か感じる弌月は察した……この壷、意識を持ってやがるな、と。

 そこで弌月は、〔ひとまず5000万z\ドーン/〕と中から共通通貨を溢れ出させる壺を見ながら考えた。


 こいつを擬人化させてみよう……と。

 その願いは、叶った……凄く和風な少女が爆誕した……そして、可愛い←これ非常に重要。

 黒くショートな髪にクリッとした黒瞳が印象的だが、元々壺自体が赤かったからか、着ている和服は赤が基調。

 弌月は自分の目を疑ったが、リアルであることを確信した。

 そしてボッチ脱出を確信した弌月は、満面の笑みを浮かべた。


 弌月、大勝利!!


 そして、早速話し掛けるが……返事よりも先に自らの顎へと思いっきりアッパーを捩じ込まれ、こんな小柄な体の何処にこんな力が? と弌月が思う間もなく意識がシャットアウト……無事KO。


「……とを……」

「いてて……ん?」

「なんて事をしてくれたのじゃぁぁ!!」

「えぇ(汗)」


 意識を取り戻した弌月への、壺少女の第一声となる大声が、弌月の脳を揺らしつつ、同時に戸惑いを併発する。


 三分後……


「ううっ……! もうやだ、この主人……」

「そうふてるなって。とりあえず、メイドとしていてもらう事にしたのでよろしくな~」


 弌月、ジト目で見上げる元壺美少女の肩をポンポンと叩く。


「……まぁ、いく宛もないしいいですよ……どうせ、あのままいたら売られるだけだったでしょうし……」

「おいおい~壺のままならともかく、少女好……紳士な俺がそんな事しねぇよ~ハッハッハ~! それで壺少女、名前は何てぇの?」

「……そんなもの無いですよ……人だったとかならともかく、願い叶えるだけの壺だった私に、名前なんて無いです」

「ふ~ん……んじゃ、 朱壷(あかつぼ)な」

「え?」

「いや、え? じゃなくて、朱壷で決定な」


 突如自分の名前を決められた少女、固まってからその意味を理解するまでたっぷり数十秒……


「えぇぇぇぇ!!!???」


 再び大声を出され、ただでさえ容量が小さく絶望的な弌月の脳が揺さぶられる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ