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2 ー 巧妙な手口

 

「え、それってどういうことですか?」

「なに、うちの部の優秀な人材をもってすれば造作もないことなのだよ、咲ちゃん。」


 茜先輩はさっきまでの口調を変え、探偵的な感じで話し出した。


「神楽坂くん、あれを。」


 茜先輩がパチンと指を鳴らすといつの間にか茜先輩の隣に立っていた明華先輩が一枚の紙を差し出す。


「はい。こちらです。」

「さぁ咲くん、これを見たまえ」


 明華先輩も割りとのりのりだった。茜先輩はテーブル越しに受け取った紙を此方へ見せてきた。


「えーと、にゅうぶ…入部届け?!」


 そこにあったのは私の名前が書かれ、希望部活欄に英雄研究部とある入部届けだった。


「これは楓の案でね。ふっ、全く恐ろしいことを考えるものだ。」


 自分の発案じゃないんだ、という突っ込みはさておき確かにこれは恐ろしい。


「で、でもその用紙は私のカバンに入れておいたはず…」


 そう、確かに入部届けは教室でもらったあとカバンに入れていたはずなのだ。いまもそのカバンは私が座っている椅子の隣に置いてある。あれがもし本物なら隣にいた私に気づかれないで用紙を引き出せるということだ。…ナニソレ怖い。


「それくらいなら、めいちゃんにかかれば一瞬よ。」


 そう、楓先輩は軽く言ってのける。どうやらめいちゃんこと明華先輩がそのトンデモ人物らしい。


「はい、ちょっと空間を弄れ…いや仕組みは企業秘密です!」


 一瞬なんかすごい言葉が聴こえたような…いや、気のせいだ、うん。



 プルルル…


 突然、何処からともなく電話が鳴り出した。…かなり、びっくりした…

 音のなるほうを見ると割りと物に隠れていて気づかなかったがテーブルの奥のほうに電話機が置いてあった。明華先輩が受話器をとりに行く。


「その、これどうぞ」

「ありがとうございます」

 電話に出ている間に優香先輩がお茶を持ってきてくれた。猫が書かれた可愛らしい湯飲みだった。誰の趣味なのだろう…


 少し経つと明華先輩の電話が終わったようだ。


「すいません、依頼が来ました。急ぎの仕事だそうです」

「お、珍しいね、急にだなんて」


 仕事という気になることを言う明華先輩に茜先輩が反応する。


「なんでもずっと隠れて準備してたらしくて、いままで全く痕跡が無かったんだそうです」

「それはまた拗らせてそうだなー」

「だいたいそういうやつはろくなのいないわよね」

「気持ち悪くないのがいいです」


 茜先輩の感想は楓先輩も優香先輩も同じ感じらしい。というか優香先輩が言った言葉が気になる。気持ち悪いのってなに…


「で、場所は何処なの?」

「文化水準Cランク、魔術とか魔物がいる異世界の定番って感じの世界です。」

「何も考えて無かったし、装備は取り敢えず適当に王道な感じで」

「わかりましたー」



 茜先輩の質問に神楽坂先輩が答える。世界とはどういうことなのだろう…


「じゃ、行きますよー」


 軽い感じの明華先輩の言葉と同時に床にテーブルの回りを囲むような形で円のようなものが光だした。


 そう、それはアニメなどでよく見る魔方陣≪・・・≫だ。


「え、えと、これはどういうことですか?」


 あまりの状況に全くもって頭が追い付かない。すると茜先輩が私の問いに答えてくれた。


「ん?だから言ったじゃない、英雄やったりしてるって」


 そして少し不敵な笑みを浮かべこう続けた。


「要は、世界を救いに行くってことだよ」


 丁度言い終わると同時に魔方陣は輝きを増し、次の瞬間、ふわりと体が浮くような感覚と共に目の前の視界が暗転した。


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