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プルーム森の吸血姫  作者: 杠葉 湖
第4章 恩讐を超えて
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第4章 恩讐を超えて 6

「なんだ?そこの出来損ないから聞いていなかったのか?」

 レスナーは狼狽するリーザを見て、全てを理解した。

「なるほどな……己の復讐のために、ルディを辱めるような真似をした、か。それが貴様の命取りになるとも理解せずに」

「な、何を言っておるのじゃ!?」

 全てを見透かされたかのような言葉に、リーザは狼狽しながら声を上げる。

 レスナーは淡々と言葉を続けた。

「ナネス村の男が言っていた。自分を投げ飛ばした女が、メイドを連れていた、と。吸血鬼とは、目立つことを好まない物だと思っていたのだがな」

 レスナーはゆっくりと剣を構える。

「吸血鬼、俺が怖いのだろう?」

「な、何を……!!」

 思っていることを率直に言われたリーザは、言葉に窮する。

「お前の態度で、すぐにわかった。お前の一族を始末した先祖に、俺が似ているのだろう?光栄なことだ」

「で、では貴様は、別人と申すのか!?」

 リーザは驚いたように、言葉を荒げる。

「当然だ」

 レスナーは静かに答えた。

「貴様ら化物とは違うのだ。人間は、そんなに長くは生きられない。だが安心しろ」

 レスナーはそう言って、冷たく残酷な笑みを浮かべた。

「少し遅くなったが、お前も親の元へと送ってやる。吸血鬼を根絶やしにすることが、我が一族の使命だからな!」

 そしてそのまま、リーザに向かって突進する。

「ぬかせ!こわっぱが!」

 リーザもレイピアを構え、レスナーに向かって走り出す。

 先に仕掛けたのはリーザの方だった。

「父様、母様!それに一族の敵!」

 レイピアをレスナーの胸めがけて突き出す。

 レスナーはそれを左によけて交わした。

「ふん!」

 そのまま大剣を振り上げる。

「くっ!?」

 リーザは後ろにのけぞってかわす。剣先が触れた銀髪が、パラリと宙を舞った。

「こしゃくな!!」

 体制を立て直し、リーザはレイピアを何度も突き出す。

 上段、中段、中段、上段、下段。

 ヒュンヒュン

 しかし剣先は風を切るだけで、レスナーには当たらない。

 リーザは、さらに剣を振り上げたり、振り下ろす動作も加える。

 ヒュンヒュンヒュン

 だが、やはり剣は空を切るだけで、レスナーを捕らえることはなかった。

「どうした?その程度か?」

 レスナーは蔑むような視線でリーザを見ると、大剣を水平に振った。

「!」

 リーザは身をかがめる。

 しかしレスナーは、その大剣の軌道を、途中で横から縦に変えた。

「!!」

 リーザはとっさに斜め後ろに飛び退く。

 剣先がかすめた左胸の部分が、パックリと切れた。

(こ、こやつ……強い……!)

 リーザの額からたらりと汗が滴り落ちる。

「どうやら実力の違いを思い知ったようだな」

 レスナーはニヤリと笑う。

「ぬかせ!!」

 リーザは漆黒の羽を広げて、宙へと舞い上がった。

 そして何かを呟き始める。

(何をする気だ……リーザ……?)

 ルディは弱々しい視線で、宙を見上げた。

 リーザの呟いている言葉は、彼にはまったく聞き覚えのない言葉であった。

 おそらくそれは、吸血鬼特有の言葉なのであろう。

 だがルディには、彼女がこれから行おうとする行動をもってしても、彼の父に返り討ちにされる未来しか見えなかった。

(逃げるんだリーザ……せめて君だけでも……)

 しかしルディの願いもむなしく、リーザは決してレスナーから目を逸らそうとはしない。

 そして何かを呟き終わるや、リーザは目を見開いた。

 途端に彼女の体が霧化していき、辺り一帯が濃霧に包まれた。

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