1.いとも平凡なる異世界的展開
「安易な異世界設定ほど気分の萎えるものはない。最近は猫も杓子も異世界異能力ものである。もはや『異』世界『異』能力であることが正常となってしまい、そうでないほうが珍しいという、なにか本来の『異』の意味をなしていないようななんとも珍妙な状況になりつつある。…」
私は生まれつき魔法が使える。
これが当たり前のことではないらしいと気づいたのは、私が小学校に入学した頃だ。
それ自体はいいとする。ただ、これを読んだ人はきっと「いかにもライトノベルにありがちな設定だ」と感じることだろう。
そこが問題なのだ。どうも私は自分が安っぽい物語の主人公で、その物語は将来的に異世界ファンタジー展開が約束されているように感じてならない。ライトノベル的なご都合めいた出来事ばかり私の身の回りで起こるからだ。例えば魔法が使えることもそのひとつだ。とりあえず魔法使わしておこうという何者かの気概が透けて見え、安直な「設定」に思われる。また、異世界ファンタジーというと大抵なよなよした青年が主人公で必ず可愛い幼馴染か可愛い妹が登場し、なんやかんやあってヒロインは主人公に惚れるが、性別こそ逆なものの私の隣の家には幼稚園の時からの幼馴染が住んでいるし、私には妹がいる。しかも彼女の顔はとても可愛いしやたらスタイルもいい。
そんなバカな話があってたまるか。
私は異世界系物語なんて望んでいない。普通の女子高生としてまっとうな青春を送りたい。だから何があっても私はこの物語を異世界ファンタジー的展開にはさせたくない。
そして妹のような容姿が欲しい。