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この短編集はハーレム要素が希薄すぎると今更ながら気付いたので子供から老人まで楽しんで戴くのが目標であるからしてハーレムを書いてみた(ハーレムとは言ってない)



「お兄ちゃん。私のプリン食べたでしょ…?」



「何を薮からスティックに。俺が可愛い妹のプリンを食べるわけないだろ」



「うそ。だって買い置きしてたプリン無くなってるもん」



「大方オヤジかカーチャンが食ったんだろうさ」



「そんな筈ないわ。だってプリンには名前を書いていたもの。パパとママは私の名が書かれたプリンを食したりはしないわ」



「じゃあ寝ぼけて自分で食ったんじゃねえの?そもそも俺がプリンを食べる理由が無えよ。

お前だって俺がプリン嫌いだって知ってんダロ?」



「そうね…。確かにお兄ちゃんはプリンが嫌い。

例えるならば黒板を爪でキィィーってする音レベルで嫌いだったわね」



「黒板は割と平気さ。それよか発砲スチロールがキュッキュて鳴る音のほうが苦手だよ」



「そっか。ならお兄ちゃんは犯人じゃないわね。

ごめんね、疑っちゃって」



「なあに、気にすんな」



「………とでも言うと思ったか兄者ァァア!!

どう考えてもプリン食ったのはテメエしか考えられんのんじゃいボケェ!!

おっと丁度いい所に発砲スチロールが落ちておるわ!へへへ、兄者が口を割らねえとコイツをキュキュッとやっちまうぜぁぁぁああー!!」



「し、知らん!俺は知らんぞぉ!だからそんな物騒な物を持つんじゃない!ヤメロっ!凄くヤメロ!」



「問答無用!響け地獄のプレリュード!!!」


発砲スチロール「キュッキュ!キュッキュキュ!」



「ぐわあああああアタマが割れそうだああああああ!?!!?」



「うーくゃくゃくゃくゃ!口より先に頭が割れそうだってぇ〜?

センスいい絶叫だなぁオイ!

もっと!もっとだ!もっと兄貴の叫びをキカセテクレヨぉぉおー!!」


発砲スチロール「キュっキューキュイ!」



「ひゅええええぇー!!

しょうでしゅぅぅぅぅ僕ですゅぅぅ!

妹のプリンば食べよったんはアッシでヤンスぅぅぅー!!!」



「ぅおっとォ!遂に認めよったな!このプリン泥棒めが!

なんで……?何でプリンを食べたのお兄ちゃん!?

私信じてたのにッッ!!」



「これには理由があるんだ。そうだな。お前も来年は高校生だもんな。

いつまでも子供扱いしてちゃいけない…。

だが、理由を言えばもう元には戻れない!

それでも真実を求めるか…?」



「覚悟の上よ…!」



「…強くなったな妹よ。いいだろう。心して聞くがよい。それは今朝の学校から始まった…」



・・・・・・・



兄「生徒指導室に呼び出してなんですか先生。登校日なんてさっさと帰りたいんスけど?」


美人女教師「はは、まあそう言わないで下さい。

いや大した事じゃないんです。実は昨日、スーパーで君の妹さんを見掛けましてね」


兄「へえ…」


悪い予感がした。兄は教師に気づかれぬよう、椅子から腰を浮かし、いつでも逃げられる準備をした。


美人女教師「妹さん。買ってただろ……?

………プリン」


やはりか!


ガタッ!兄はすぐさま椅子を押しやり生徒指導室から逃げ出した!


美人女教師「待ちなさい!待て!待てぇ!

プリンンンー!よこせぇー…!妹プリンよこせェェエエエー!!!」


シャカシャカシャカ!

手を地に付けゴキブリのように追ってくる美人女教師!

凄まじいスピードだ!逃げきれない!?

そう思ったその時!


美人先輩「こっちよ!」

兄「ありがとうございます先輩!」


ドロォーン!美人先輩が放った煙幕により美人女教師の目を眩ませる!


美人女教師「ぐぬぬぬおのれええええ!!!」



屋上



美人先輩「はぁ、はぁ、ここまで来たら一安心ね」


兄「ええ。ナイスタイミングで助かりましたよ」


美人先輩「かわいいかわいい後輩君のピンチだもの。役に立てて私も嬉しい」


兄「照れますね。…痛ッ!」


美人先輩「どうしたの?

…!腕から血が出てるじゃない!?」


兄「どうやら走ってる最中にどっかで引っ掛けたみたいです。なあに、こんくらい唾付けときゃ治りますて」


美人先輩「ダメよ!」


美人先輩は自分のハンカチで血を拭いてくれて、絆創膏を貼ってくれた。


兄「あ、ありがとうございます。ハンカチ、洗って返します」


美人先輩「ふふ、別に返さなくっていいわよ。どうせ百均で買ったものだから。それより…」


美人先輩は兄の手を握り、その透き通るような碧い瞳で見据え、

濡れた唇から艶やかに言葉を告げた。


美人先輩「……妹さん。プリン買ったんですって?」


ゾクゥ!!

兄「うわあああああ!!!」


瞬時に美人先輩の手を振りほどき、兄は屋上入口へ駆け出す!しかし!


屋上の扉「ゴゥーン!ゴゥーン!」


扉越しの美人女教師「開けろォォー…ここを開げろォォー!!」

美人先輩「逃げられないわよ…」


前門の虎、後門の狼!


どうするどうする…!?

窮したか兄は屋上からダイブ!!遂に血迷ったかと思いきや、見事な五点着地にて兄無傷!すげえ!

屋上を尻目にそのまま遁走!


学校玄関にいた見目麗しい同級生「やあ、そんなに急いでどうしたんだい?」


兄「なんだお前か。別に、これから帰るところさ」


見目麗しい同級生「ふむ。だったら一緒に帰ろうじゃないか」


兄「いいけど、お前のファンクラブの野郎どもに睨まれそうだなあ」


見目麗しい同級生「ボクが誰と帰ろうとボクの勝手さ。

それとも君は…ボクと一緒だと嫌かな…?」(上目使い)


兄「おま…それ反則だぞ…!」


見目麗しい同級生「相変わらず君は色仕掛けに弱いね。やれやれ先が思いやられるよ」


兄「そうだな。美人局には気を付けるとするよ」


見目麗しい同級生「そういう意味じゃないんだけどなぁ。…この鈍感」


兄「えっ、なに何で俺責められてんの?」


見目麗しい同級生「べっつにー。ただ、君の妹君がプリンを買ったそうじゃないか?」


逃げる兄!


校門にいた美少女後輩「あっ!せんぱーい!これからカラオケ行きませんー?

ついでに妹さんのプリン下さーい!」


逃げる兄!


商店街でバッタリ会った近所の悩ましいおねいさん「奇遇だな少年。どれ、妹のプリンを寄越せ」


逃げる兄!


薩摩が生んだ殺人マシーン「プリン置いてけ!なあ!?プリン置いてけよォォオ!!」


逃げる兄!



こうして命からがら自宅に戻った兄。

しかし、平穏はまだ訪れてはいなかったのだ…!


ピンポーン!ピンポーン!ピンポンピンポン!

ポーンポーンうぅうぇうぇ!うぇうぇポン!つーけまーけま!


けたたましく鳴り響くインターホン!


愛らしい幼馴染「ねー?居るんでしょー?開けてよー?ねー?開けてよー!開ぁーけろぉー!!

プリンプリンププププリャアアアアア!!!」


バキョォン!!

力尽くでドアをブチ破る愛らしい幼馴染!


兄「これは妹のプリンだ!お前なんかに渡すわけにはいかない!」


愛らしい幼馴染「コヒュー…!コヒュー…!

げひひ!強がりおってからに!私の真の姿を見てもまだ同じように粋がっていれ…るか…なァ!!!」


ペカアアアアア!!


愛らしい幼馴染は眩い光を発し、恐ろしい本来の姿へとなった!


その巨体、支える太い四本の足に長い首と尻尾。

まるで恐竜の首長竜のよう。


兄「まさか……モケーレムベンベ…!」



・・・・・・・・




「モケーレムベンベですって!?アフリカ地方の未確認生物(UMA)じゃない!?」



「そう、幼馴染の正体はモケーレムベンベだった。恐ろしかった。全身の血が凍ったかと思うほど震えたよ」



「今までチュパカブラ、サンダーバード、ネッシー、ツチノコと並み居るUMAを捕獲してきたUMAハンターのお兄ちゃんをして、そこまで言わせるとは…流石はモケーレムベンベね」



「だが俺は逃げなかった。今度ばかりは逃げる訳にはいかない。

なにせ妹のプリンが掛かっていたからな」



「ばか兄ぃ!プリンよりお兄ちゃんのほうが大事だよ!!

分かってるの!?一歩間違えたら大変な事になってたんだよ!?ばか!ばかぁ!」



「おいおいそんな叩くよ。痛いって。ほら、この通り俺はピンピンしてるだろ?お兄ちゃんは強いんだ。

ちゃんとモケーレムベンベと戦って勝ったっての。だから安心しろよ」



「本当に…?」



「今まで俺がお前に嘘ついたことがあったか?」



「いっぱいあるよ?あるけど……お兄ちゃんが無事だから全部許す。えへへ」



「お前みたいな優しい妹がいて、お兄ちゃんは幸せだ」



「そうでしょそうでしょ。さあ私の頭を撫でて可愛がるがよい」



「来年は高校生だってのに、まだまだ甘えん坊だな。ほれ、よしよし」



「えへへへへ」



「…その、プリン、食っちまって、悪かったな」



「もう気にしてないよー。あっ、でも何でプリン食べたの?

お兄ちゃんプリン嫌いだったよね?」



「ああ、そりゃ嘘だ。プリン大好きだもん俺」


「キッサマァァアアアー!!!!!」



その後しばらくは地獄のプレリュードが鳴り響いたという。





とっぴんぱらりのぷう

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