ジョージ
バキィ!
ドカァ!
線路橋下の川原で、俺タチは殴りあいの喧嘩をしていた。
理由?
はっん!そんなん覚えちゃいねえし、多分アイツもそうだろうよ!
いちいち小難しいハナシは無しだ!要はドッチが強ェのか、それだけよ!
ハア…ハア…
流石にこうも闘りあってりゃお互い疲れてくんナ?
どちらからと言わず、俺ラは腰を下ろして休憩した。
「おい?」
「あんだァ?」
「こうやってただ、休憩してるッてだけじゃツマンネェだろ?」
「ヘッ、ちょうど俺も同じコト、考えてたぜェ?
わかんぜ?テメーがなにしようって言い出すかをよォ…!?」ビキッ ピキピキ
「ハナシが“早”くて助かるぜェ!じゃあキメっゾ?
今度の曲を…!!」ビキビキ…!
「ソーだな…。ビートルズってのはキマってた。
問題は…どの曲で演奏るかってコトだ、ぜ!?」
俺たちマリンバ同好会は、月イチの昼休み公演会で演奏る楽曲を決めかねてたんだ。
そうだったな。ビートルズの曲でドレをやるかで言い争いから…戦争に発展したんだよぉ〜…!?
「エリナリグビーに“決まっ”てンだろォーがダボがぁぁ〜!!?」
「ああ??エリナリグビー上等だクソがァ!?ヘルプ“ナメ”てっと挽き肉にすッゾ…!?」
またしても俺ラが拳を交える空気に、割り込んで来たのはマリンバ同好会会長だった。
「もうっ!あなた達またケンカしてからに!
どうせまた曲が原因でしょ!?」
「「だってコイツが…」」
「両方やればいいだけじゃない!」
!?
「両方…演奏る…!?」
「ドエレー…COOLじゃん…!」
やっぱ、俺ラは馬鹿だかんよォ?
会長みてェな優等生が必要るんだわ…!?
「そうと決まれば早速学校に戻って練習しましょ!」
こうして音楽室で木琴を練習して数週たったが、さ、サバイ!
全然目指す“音”にナんねェ…!?
今回の原因は理解ってた。
ビートルズメンバーの名前が思い出せねェんだよクソがぁ〜…!?
欲しいぜぇ〜…欲しいンだよ名前がよォ〜…?
それが、三人の意識を阻害して、音を狂乱わせてやがんだ…!?
「落ち着いて!ポールマッカートニーとジョンレノンは思い出せたわ!あと二人、二人なのよ!」
「ケドよぉ〜?あと二人がモンダイ…だぜ!?」
「ナンか、日本のミュージシャンでよォ?似た名前いた気がスんだよなァ?!」
「本当!?誰よソレ!」
メロディーしか憶えてねえから、仕方なくマリンバで演奏てやる。
ポーロッロッポロー
ポローポッポーッン
「おい、おいおいこりゃぁ…椎名林檎の本能じゃねェか…!」
「待って!椎名林檎…リンゴ…ゴリラ…ライス…スター………スター!?
そうだわ!リンゴスターよ!!」
!?
「“ヤル”じゃん会長!?ソーだよリンゴスターだぁよー!!」
「クッ、ククク…。コレで俺タチ……最強…だぜ…!!?」
メンバーを思い出した俺ラの練習にも熱が入る!
「ルシファーズマリンバ幻の6速…!!?!」
ポロロン!
「僕はもう、あのビートルズのやうに、ほんとうにみんなの演奏のためならば、僕のからだなんか、百ぺん
灼いてもかまわない…!!」
トン ポポロン!
「すごいわ!これが…木琴の向こう側…!?」
ポンロポロンッ!
こうして、俺ラの定期公演会は、光の龍が舞う如く最高に盛り上がった、ぜ…!?
完




