かふぇおれ牧歌おんらいん
「『かふぇおれ牧歌おんらいん』へようこそ!
私はこのゲームシステムを司るAI【ミルキー】です。貴方の名前を教えて下さい」
「吉田です」
「了解。ではヨシダのキャラメイクを始めます。
性別、年齢、職業、年収をお答え下さい」
「男、25歳、ラーメン屋店長、年収350万」
「ふむふむ、ラーメン屋ですか。
当社では、すっごく美味しいミネラルウォータータンクの販売もしておりまして、今なら」
「あっ、そういうのいらないから」
「では近々店舗の改装のご予定は?いい業者を紹介しますよ?」
「いりません!」
「クソが!」
「あ?」
「いえ、何でも御座いません。ヨシダはどうやってこのゲームのことを知りましたか?」
「中古屋のワゴンセールの手書きPOPに『クリア不能!クソゲー史上最高峰のクソゲー』って書かれてて気になったから」
「…よろしければその店舗の場所をお教え下さい」
「それ知ってどうすんの?」
「当社が全力を挙げて、こう…キュッってヤります」
「尚更言えねえよ!」
「残念です。ではご希望の種族は御座いますか?」
「ん、種族って何?」
「はい、プレイヤーは五つの種族に分類されます。それぞれに個性があるので説明します。
・ヒューマン
可もなく不可もなし
・エロフ
可もなく不可もなし。エロい
・ドガーフ
鉄鋼や土堀に優れたガス生命体
・ネオヒューマン
進化したヒューマン。可もなく不可もなし
・アルミ缶
空き缶
いかがです?私個人としてはアルミ缶がオススメです」
「いや、ヒューマンでいいよ」
「ヒューマンですかぁ〜、はぁ…、まあ前向きに善処いたします」
「確約してよ!?」
「小僧が生意気な!」
「あ?」
「いえ、では次の質問です。姉と妹、どっちが萌えますか?」
「そもそもこの質問に何の意味があるん?」
「ええ、実はこのかふぇおれ何とかは、敵が強すぎるとの苦情がありまして。
そういったヌルいゆとりゲーマー共の救済措置として、質問に対する返答次第でレベルアップボーナスが施されているのです。
コツは私をギャルゲーのヒロインだと仮定して返答すればポイント高いですよ」
「返答次第ということは、レベルが下がることもあるの?
あとボーナスは最高でどれだけ貰える?」
「まずレベルダウンは有ります。当然です。マイナスレベルでスタートした雑魚プレイヤーも多いのが事実ですね。
しかしボーナスはなんと、プレイヤー最高レベルの100まで獲得可能です!
ギャルゲーに慣れ親しんだ顔してるヨシダなら楽勝でしょう?」
「まずお前をヒロインと仮定する時点で難易度高いわ」
「カスが!」
「あ?」
「いえ、ただし、今なら当社の保険に登録すれば、30レベルのプレゼントが…」
「くどい!」
「ボケがぁ!」
「あ?」
「いえ、ところで姉萌えか妹萌えかの質問ですが」
「ああそうだな。そりゃあ妹かな」
「了解し…」
「と、思うダロ?かぁ〜っ!わかってねえな!
みんな全然わかってない!
姉萌えの素晴らしさに何で誰も気付かないのだろうね?
いいか、そもそも姉萌えってのは」
「そういうのいらねェからキモ豚」
「あ?」
「いえ、では気を取り直して次いきましょう。
このゲームのタイトルは?」
「忘れた」
「私もです!じゃあもう正解でいっか!おめでとうございます!
これでキャラメイクは終了です。
どうぞ心ゆくまでこのか…かふぇ…?かふぇ…うん…?
か、かふぇ何とかの世界をお楽しみ下さい!」
ゲームが遂に始まった。
まず最初にステータス画面を確認。
ヨシダ
種族ヒューマン
レベル 100
体力/999
MP/999
力/99
魔力/99
愛しさ/99
切なさ/99
心強さ/99
「レベル100!?」
「ええ、ヨシダはこのゲーム始まって以来の100レベルスタートのプレイヤーですよ!」
「あんたまだ居たのか」
「まだチュートリアルがありますからね。ほら、あそこの雑魚ゴブリンを倒せば本格的に本編スタートです!」
「へいへい、まあこのステータスならチュートリアルとかなくても楽勝だろ」
「ちなみに雑魚ゴブリンのレベルは7600です」
「倒せるかッッ!!!」
ゲームオーバー