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やわらか秘密結社




世界征服を企む悪の秘密結社最深部。

その部屋の一段高い玉座に座る男こそ、結社の総帥バルザカルテである。


側近が「来たようです」と耳打ちすれば、静かに、そして厳かに「入れ」と一言発する。


ゴゴゴと重厚な扉がゆっくり開き、怪人サバンミが入室する。

すると扉は、開く時とは打って変わってバタァンと勢いよく閉まる。まるで「逃がさんよ」と言うように。



怪人サバンミは敬礼し膝を付く。


「さて、サバンミよ。此度の作戦の失敗。如何様に説明してくれるかな?」


バルザカルテはワインのグラスを転がすも、その手は怒りで少々震えていた。


(…無理もない)

それを見ていた側近は納得する。


サバンミは結社の怪人の中でも指折りの実力者。

コンクリートブロックを安々と破壊する腕力。

二日くらいなら徹夜を成し遂げる強靭な精神力。

飛車角桂馬落ちのプロ棋士にさえ勝てる並外れた棋力。

小学校の通信簿は図工以外は全部◎だった冴え渡る知力。

炭酸飲料は美味しそうだけど骨が溶けると信じて飲めない迷信力。


どれを取っても優秀で、小説戦隊ナロウレンジャーにさえ引けを取らない強者のはず。

だからこそ、今回の作戦の失敗にバルザカルテは落胆を隠せないのだろう。


「どうした?私は説明しろと言ったのだぞ」


ビクッ、とサバンミは恐怖で身体を強張らせるも、それでも怪人としてのプライドか、説明を開始した。


「はっ!今回の『美脚美人の黒パンスト脚に練乳を塗りたくる作戦』、申し訳ありません。失敗してしまいました!」


「確か作戦立案したのも貴様だったな。あの時なんと作戦説明したか覚えておろう?」


「はい…。黒パンストに練乳を塗りたくれば我々は嬉しい。相手は黒パンストに練乳を塗られて嬉しい。

失敗する要素が見当たらない、まさにwin-winの作戦だと申し上げました」


言葉だけなら完璧だが、結果の真逆に側近は声を荒げる。

「現に失敗しておるだろう!!」


「お前が怒らずともよい」

バルザカルテに宥められ、側近は「出過ぎた真似をしてすみません」と口をつぐむ。


「して、サバンミよ。貴様は最初からJKに狙いを定めていたようだが、

なぜ黒パンスト率の低いJKをターゲットにし、黒パンスト率の高いOLを除外したのか、そこが不思議なのだ」


「はい、それには二つ理由が御座います。

これはお分かり頂けると思いますが、黒パンストのJKを見るだけで嬉しくなるのがまず一つ」


「うむ…」「確かに…!」


「そしてもう一つ。私は…私は…!

女性のスーツはパンツスーツのほうが好きだからです!!」


パリィーン!

バルザカルテがワイングラスを握り潰す!


「………サバンミよ。此度の作戦、一番の失敗は何だと分析する?」


「く…そ、それはやはり、

巡回中のお巡りさんに「コラッ」て叱られたのが最大の失敗かと…ですが!

今一度私にチャンスを!

次こそは確実に…!!」


「もうよい!」


バルザカルテが椅子についてるボタンをポチィー!

サバンミのいる場所の床がパコォーン!

落下するサバンミたまらずヒューン!



「地下でしばらく反省してろ」


結社の最深部の更に地下に存在する、通称反省部屋。

そこにあるパソコンにはスク水コスプレ画像が大量に保管されている。

その画像に秘められた真意を見出せなければ二度とその部屋からは出られない。


「サバンミめは、反省部屋から出られますかね?」


「ふん、これでも余は奴をまだ高く買っておる。

サバンミならば気付くであろう。スク水に重要なのは胸でも尻でもない…お腹だということがな!」


「仰る通りです」


「さて、たちまち次の作戦はどの怪人がよいか」


「それならば、怪人マデラーグがよろしいかと」


「マデラーグか。ならばあの作戦を実行するにうってつけだな」


「まさか…!あの作戦を!?『美女の鎖骨の窪みに牛乳を注いでストローで飲む』大作戦ですね!!」


「うむ!くくく、待っておれ小説戦隊ナロウレンジャー!

奴らの悔しがる姿が目に浮かぶわ!わははははははは!!!」



秘密結社の最深部にバルザカルテの高笑いが響き渡る。


行けっバルザカルテ!


世界をフェチで染め上げるその日まで!




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