春の便りは何処から…(2)
『弓根 呼白様
虹の石祭りが4月20日に開催されます。海 様から、呼白様への贈り物も預かっております。詳しいことはお連れの狼に聞いてください。それでは、お待ちしております。』
「だって!なんだこれ?」
呼白は頭をかしげた。
「これ、怪しくない?誰かの悪戯だよね!」
アルトは笑った。
「この風山町に住んでいるのは、私たちぐらいよ」
「あー。確かにそれもそうだねー。」
「まぁ、詳しい事はファゴットが話してくれるから。」
「はぁ?俺か?!」
ファゴットはチッと舌打ちした。また、俺かよとぶつぶつ言った後、
「あぁ、分かったよ。外に出るぞ」
とけだるそうに言って、さっさと家を出た。呼白は慌てて自室に行き、帽子を被りカーディガンを羽織ると「行ってきます」と大きな声で行って、玄関を開けた。
ー「いってらっしゃい」と笑顔で呼白を送った後、アルトは慌てた呼白の手から落ちた手紙をもう一度見た。
(海様は、呼白のお母さんのことで間違いないわ。海様は何をお考えになっていたのかしら…。あぁ、お母様。私には何もわからない。いったいこれから何が起こるの?教えてよお母様!)
もう二度と目の前に現れる事のない自分の母に何度も問いかけた。なんとも言えない無力感による涙が、銀色の毛皮の波に飲み込まれていった。
だいぶ遅くなってしまい、すみません!今後、溜まった分をどんどん配信して行きたいとおもいます!