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 3

「コイツ」ちょうど電話が終わったベイカー、銃を構える。

 当たったら死にはしないが、失神はするだろう。彼はジグザグに逃げる。


 階段を一気に3階まで駆け上がる。必死にあたりを見回し、廊下の突き当たり、右側に暗い穴を見つけた。扉が開いたままのエレベーター。その階で永遠の停止中だった。中の片隅に緑のランプが光って見える。

 聞くところによるとポイントは全部で3つ。

 さっきのはダミー、ではあれはゴールへの50パーセントの可能性だ。


 彼がエレベータ内に駆け込んだのとほぼ同時に、ベイカーも同じ箱に飛び込んだ。

 がん、と衝撃が走り箱が落下。彼らは床に叩きつけられた。急激に箱が止まり、今度は身体が跳ね上がる。

 エレベーターはそのまま1階と地下1階の間、一番床の厚い部分にひっかかるように停止したらしい。床がわずかにかしいでいる。

 内側の扉は開いているのに、この時間だということもあって、まるで光が入ってこない。


 頭を抱えながらまずサンライズ、そしてベイカーが起き上がった。


 サンライズがポイントのスイッチを押した。LEDが「INVALID」の文字を流す。

 これもダミーだった。


 ベイカーも、残りのどちらが有効なのか本当に知らなかったらしく、あぜんとしている。


「屋上の……アレだったのか」

 しかし、すぐにあきらめたように鼻を鳴らした。

「まあいい、組織には連絡がついた。それにあんまり早くゴールが決まってもジャマが入るしな。とりあえずヘリが来るまでここで待つか」


 持っていた銃を彼の胸元につきつけ、まずそこに入っていた通信機を取り上げた。


「あんまり恐怖は味わいたくないだろう? 失神させてやろうか。タグの色が赤くならない程度にね」

 サンライズ、今度こそ固く目を閉じた。


 せめて楽できる間に休もう。しかし、こんな時。


「あれ」

 ベイカーは引き金を何度もひいた。銃は、何も反応しなかった。

「くそっ」

 彼は銃を投げ捨てる。肝心な時に壊れてしまったらしい。

「ざまあみろ」

 サンライズはつぶやいて、横になった。


 一つだけ、希望はあった。ベイカーには言ってないし、もちろん、言うつもりもない。


 先ほど横たわるアルファを見かけた時、『シェイク』を試したことを。


 起きろ、さっさとゴールを目指せ。

 オマエが生き残るんだ。


 もしもアイツに意識があったならば、まだ可能性はある。

 彼は目をつぶって、時を待った。

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