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 2

 サンライズは、じりじりと後ずさりながら口を開こうとした。

 そこに、ベイカーがぱちっと指を鳴らした、いや、鳴らすような動きをした。手にした小型カメラのような箱がちかっと光り、サンライズの目を射た。

 ベイカーは光の刺す瞬間、片手で目を覆っていたのでその後もすぐ目を開いていた。よく見えないが、彼を見て笑っているようだった。

 サンライズは刺すような痛みを覚え、まぶたの上から眼をぎゅっと押さえた。

 目の前にはまだ黒いしみのような点が無数に浮かんでいる。

「たいした仕掛けではないが、試しにやってみるといい」

「何をだよ」

 だんだんと、目の奥の痛みがひどくなっていく。

「スキャンと、シェイクだよ、できるか?」


 言われなくても、キーを掴んでいた、さっきまでは。確か、こうだ。

「黄色い札入れを拾ったんだな」


 ひっかかってこない。キーは無効になっていた。


 それだけではない。どんなに触手を伸ばしても、何も見えてこなかった。


「これねえ、便利だろう?」

 相手は小さな箱を見せているようだったが、サンライズはズキズキする目を押さえたきり、もう片手でそばの壁を探るのみだった。

「ちょっと前に、開発部の天才と呼ばれる男が作り出したんだそうだ、オレは会ったことはないが、それでもオレにとっては十分役に立つヤツだな。これはまだ初期段階で、最近では腕時計に内蔵されたのやら、もう少し便利なタイプもできているらしいが、まあ、使えれば何でもいい。シェイカー封じのお守りってわけだ」


 何が開発部の天才だ。つまらんモノ開発しやがって。

 一生その男を呪ってやろう、とサンライズは心に誓った。


 痛みはピークを過ぎたようで、ぼんやりとあたりの輪郭が戻ってきた。それなのに、スキャンは全然できそうもなかった。

 つるつるした壁につかまろうとあがいているようだ。

 他の手を考えなければならない。彼はまだかなり目が痛いフリをしながら必死で考えをまとめた。


 その間に、ベイカーはずっと隠し持っていた携帯電話を取りだした。

 取引先との連絡に使うらしい。

「ちょっと失礼」どこかに電話している。

「アロー、エタブローチナヤ」ロシア語だった。


 畜生、パソコンと一緒に売られてたまるか。目はどうだ? 何とか行けるか。


 彼は一瞬で進路を見いだし、バネをきかせて飛び出した。

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