表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/29

 4

だいぶ経ってから、通信機が震えた。

 彼らは足を止めて内容を確認する。


 案の定、04班ギガンテ死亡、ホーク重態(戦闘不能)、とあった。


 彼らもただ黙ってやられたわけではないらしく、続いて03班クインテット死亡、アルファ軽傷、とLEDの赤い文字が流れた。


 ベイカーは何も言わず、通信機をしまった。

 サンライズも、一言も発することなく彼の後に続いた。

 吐きそうだった。

 それでもやはり、足を止めることができない。


 灌木の間から、少し平らになった山頂がみえた。

 赤い照明をともしたアンテナが数本、暗く曇った空に伸びている。

 さきほどまではっきり見えていた月は今、おぼろに霞んで白っぽい暈を厚くまとっていた。


 頂上に、鉄筋コンクリート3階建てのビルがあるのだという。

 その建物のどこかに、今回のゴールポイントが隠されている。

 ポイントは三ヶ所設定されているが、そのうち二ヶ所はダミー、本物は一つきりだった。


 どこかから叫び声があがり、銃声がした。ベイカーとサンライズは反射的に伏せる。

 しばらくその姿勢のままでいたところに、また通信機に連絡。

 01班フリーウェイ死亡、02班ジャッカルとゾディアック軽傷。


 建物の周囲ですでに戦闘が始まっているらしい。


 しかしゾディアックはまだ残っている。サンライズにとって、それは吉報でもあり、凶報でもあった。


 日付がいつの間にか変わっていた。00:09。


 残ったのは、01班がカンサス一人、02班がゾディアックとジャッカルの二人、03班がアルファ。

 そして04班がベイカーとサンライズ。


 全てが今、間近なゴールに向けて渦を巻くように、いや、燃え盛る松明に抗えない羽虫たちのごとく、ぐいぐいと引き寄せられているのを感じる。


「荷物をここに置いて」

 ベイカーが銃を構える。

 サンライズも通信機を胸ポケットにおさめて、銃だけ取り上げた。



 最後の決戦場へ、彼らは小走りに突入していった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ