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だいぶ経ってから、通信機が震えた。
彼らは足を止めて内容を確認する。
案の定、04班ギガンテ死亡、ホーク重態(戦闘不能)、とあった。
彼らもただ黙ってやられたわけではないらしく、続いて03班クインテット死亡、アルファ軽傷、とLEDの赤い文字が流れた。
ベイカーは何も言わず、通信機をしまった。
サンライズも、一言も発することなく彼の後に続いた。
吐きそうだった。
それでもやはり、足を止めることができない。
灌木の間から、少し平らになった山頂がみえた。
赤い照明をともしたアンテナが数本、暗く曇った空に伸びている。
さきほどまではっきり見えていた月は今、おぼろに霞んで白っぽい暈を厚くまとっていた。
頂上に、鉄筋コンクリート3階建てのビルがあるのだという。
その建物のどこかに、今回のゴールポイントが隠されている。
ポイントは三ヶ所設定されているが、そのうち二ヶ所はダミー、本物は一つきりだった。
どこかから叫び声があがり、銃声がした。ベイカーとサンライズは反射的に伏せる。
しばらくその姿勢のままでいたところに、また通信機に連絡。
01班フリーウェイ死亡、02班ジャッカルとゾディアック軽傷。
建物の周囲ですでに戦闘が始まっているらしい。
しかしゾディアックはまだ残っている。サンライズにとって、それは吉報でもあり、凶報でもあった。
日付がいつの間にか変わっていた。00:09。
残ったのは、01班がカンサス一人、02班がゾディアックとジャッカルの二人、03班がアルファ。
そして04班がベイカーとサンライズ。
全てが今、間近なゴールに向けて渦を巻くように、いや、燃え盛る松明に抗えない羽虫たちのごとく、ぐいぐいと引き寄せられているのを感じる。
「荷物をここに置いて」
ベイカーが銃を構える。
サンライズも通信機を胸ポケットにおさめて、銃だけ取り上げた。
最後の決戦場へ、彼らは小走りに突入していった。




