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お買い物エッセイ

暑さと冷たさを交互にもたらすベルトのおかげで、この夏を乗り越えられそうな話

作者: Y
掲載日:2026/07/20

 私は持病の関係で車やバイクの免許を持っておらず、私の住む地域は公共交通機関が発達していない。なので私が自分1人で移動する手段は、徒歩か自転車ということになる。


 移動手段が徒歩か自転車だけとなると、特に困るのは夏である。日本の夏はこの30年で異常な暑さになった。35℃とか40℃とか、正気の沙汰とは思えない。防災アプリも夏になるとさかんに熱中症情報を発し、「外出は極力控えて」等々、警告してくる。


 だから夏になると、私は自宅に引きこもりがちになる。たまに日傘をさして散歩や買い物に出かけるが、帰宅する頃には暑すぎてグッタリである。そんなことを繰り返しているうちに、外に出なくなる。


 家にずっと引きこもっていると、気分転換が難しい。エアコンが効いた部屋で過ごしても結局はグッタリするというのが、いつもの私の夏であった。


 今年の夏は特に暑く、梅雨明けしてすぐに最高気温が35℃の日が続いた。


「外に出たくない……歩きたくない……」


 私は例年以上にグッタリとし、家の中に引きこもった。同じ空間に滞在し続けることによるストレスを、どうすることもできなかった。




 

「なにか対策はないものか……」

 家に引きこもるようになってから数日後。私は「首元ひんやり氷結ベルト」というグッズを紹介している動画を見た。この商品は私もドラッグストアで見かけたことがある。


「首元ひんやり氷結ベルト」は、いわゆる首に巻くアイスノン……保冷剤である。同じ首に装着するクールリングといった品より、遥かに冷たくて長持ちすると評判の品であった。


 暑さ対策には良さそうだが、私がドラストで見かけた本商品のカバーの色は、鮮やかな水色だった。かなり目立つ。それでドラストで本商品をみつけた時は「これを首に巻くのは勇気が要る」と購入を見送った。


 しかし動画によると、数量限定でグレーのカバーのものも存在するらしい。グレーなら水色よりは目立たないだろう。グレーなら、買おうかな?


 ネットを検索したら、楽天でグレーカバータイプの首元ひんやり氷結ベルトが売られているのをみつけた。


 夏の外出が楽になるかも知れない。それに、数量限定なら、今買わないと売り切れるかも。


 焦った私はすぐに本商品をカートに入れ、購入ボタンをポチッとタップした。普段はもっと慎重に買い物する性格なのに、この時ばかりは即決してしまった。





 翌々日、グレーカバータイプの首元ひんやり氷結ベルトが届いた。

 本体を凍らせる前に、グレーのカバーだけを首に巻いてみる。


 うーん……まあ……水色よりはマシかな?


 お世辞にもおしゃれとは言えない見た目である。でもまあ、水色よりは遥かにマシだろう。


 氷結ベルトの本体を冷凍庫に入れる。ベルトを凍らせている間に、暑さでグッタリする。

 外に出ようという意欲を完全に失った私は、そのまま氷結ベルトの存在をド忘れしてしまった。


 氷結ベルトを冷凍庫に入れてから3日後の昼、私は仕事中の夫に「散歩して気分転換したいけど、暑すぎて外に出られない」とLINEを送信した。夫の返信は「フル装備で散歩しなさい」というものだった。


 フル装備? あ。そういえば、首用のアイスノンを買っていた。すっかり忘れていた。いい機会だから、試してみようかな?


 氷結ベルトの存在を思い出した私は、意を決して凍ったベルト本体をカバーにくぐらせ、首に巻いた。


「冷たい!」


 私は本商品の、想像以上のひんやり感に驚いた。それもそうだ、だってほとんど氷みたいなものを首に巻いているんだもの。確かにこれなら、クールリングよりずっと良さそうだ。


 私は期待に胸を膨らませながら、氷結ベルトを首に巻いた状態でUVカットパーカーを羽織った。日傘をさして外に出る。


「暑い! いや、冷たい? 暑い! 冷たい! 暑い! 冷たい!」


 なんとも奇妙な体験だった。


 氷結ベルトは、確かに冷たい。35℃の炎天下でも冷気を保ちながら、私の首を心地よく冷やしてくれる。

 しかし首以外はとても暑い。とんでもなく暑い。


 意識が首に向いた時は「冷たい! 涼しい!」と感じ、意識が首以外に向いた時は「暑い! 熱い!」と感じる。その2つの感覚が交互に、物凄いスピードでやってくるのである。


 散歩をしながら、私は「氷結ベルトは暑さ対策になっているかどうか」をジャッジした。


 小刻みとはいえ、「冷たい」という感覚が確かにある……その間は暑さから気が紛れる……ということは……総合的に見て、これは暑さ対策になっている。


 うん。暑さが和らいでいる。効果あるよ、これは!


 道を進むつれ、「これは暑さ対策になっている」と私は確信していった。

 そして帰宅した時の私のグッタリ感は、例年より和らいでいたように感じた。


 20分ほどの外出だったが、氷結ベルトはまだカチコチに凍っている。この分なら1時間ぐらいは冷たさが持続しそうである。凄いな。私は感心した。


 これは、いい暑さ対策グッズだ。


 私は「氷結ベルトはこの夏の必需品」と結論づけ、汗まみれになったカバーの洗い替えをネットフリマで検索した。カバーの見た目がどうとか言っている場合ではない。誇張抜きに死人が出る暑さなのだから。


 私はまもなくグレーの専用カバーの出品を見つけ出し、すぐさま落札した。





 以来、首元ひんやり氷結ベルトは、散歩に買い物にと大活躍している。


 外出する頻度も去年に比べて増えていると感じている。めでたしめでたしである。


 それもこれも、「氷結ベルトには数量限定のグレーのカバーがある」と紹介してくれた動画のおかげである。あれを見ていなければ私は本商品を購入していなかったであろう。


 日本のどこかにいる本商品の情報提供者、本商品を開発してくれたメーカーに感謝しつつ、私は今日も氷結ベルトを首に巻いて外出している。

アイスノンの回し者ではありません

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