Ride5 ハンティング
夜が明けてから、私たちはマッハドラゴンを探しはじめました。しばらく森を歩くと……
「いた……!」
グリーンの鱗に覆われたカラダ、赤い目、二足歩行……。アウラさんに聞いた特徴と一致していました。マッハドラゴンです。高さは、二メートルくらいありそう……。
「……大きいけど、思ったよりかわいいかも……」
「私も目にするのは初めてだ。幸運だぞ。幻の希少種をこんなに早く見つけられるとは……」
マッハドラゴンは、前脚をペロペロ舐めています。こちらには気づいていないようでした。
「……ミタライ、私が向こうで待ち伏せするから、奴を驚かせて誘導してくれ」
「え!? む、無理です、そんなこと!」
私にそんなこと、できるわけがありません。逆に私に襲いかかってくるんじゃ……。
「また三角木馬を使えばいいだろう」
「え? で、でも、またできるかわからないし……それに……」
あんまり、バイ助君以外にほいほい跨るのも、ちょっと……
「ふっ……謙遜するな。あれだけの力、偶然でできたものとは思えん。とにかくやってみてほしい」
「わ、わかりました。それじゃ、とりあえず……ん」
ヘルメットを被り、三角木馬さんに跨ってみます。すると……
「どうだ?」
ビクン! 何かが繋がる、電流のような感覚がカラダを駆け巡りました。
「あぅ……い、いけそうです。……んっ」
そう言って、木馬を動かしてみせました。
「だから言っただろう? それだけ動かせれば十分だ。奴は手強いが、驚かせるだけでいいんだ。あとは私に任せろ」
「わ、わかりました……。やってみます」
危なくなったら、木馬さんですぐに逃げよう……。
マッハドラゴンを刺激しないよう、回り込むようにして森の中を移動し、それぞれの位置に着きます。
私は、マッハドラゴンの後ろ側で待機し、手で大きくマルを作ってアウラさんに合図します。アウラさんは、マッハドラゴンの向こうの木の上にいます。
アウラさんが頷くと同時に、私は三角木馬さんで飛び出しました。
ダッ!
「わ、わああぁッ!!」
マッハドラゴンは一瞬こちらを見ましたが、木馬に驚いたのか、一目散に向こうへ逃げていきます。すごく速い……。
ちょっとアウラさんのいるところより左へ行ってしまいましたが、彼女は樹上を素早くジャンプして、マッハドラゴンの通過地点に移動しました。すごい身体能力……
「しゅッ……!」
マッハドラゴンが真下に来るのと同時に、アウラさんが木から飛び降り、剣を振り下ろします。
しかし、マッハドラゴンはそのまま走り去っていきました。……どうやら失敗してしまったみたいです。
「アウラさん……残念でしたね。あ、でも、驚かせるコツはわかった気がしますから、もう一度……」
私が近づいてそう言うと、アウラさんはニッ、と笑って、何かを地面から拾い上げます。……まさかこれって……
「鱗だけ、何枚かいただくことにした。無駄に殺すのはやめることにしたんだ。それに、希少種らしいからな」
か、かっこいい……。
「す、すごい剣さばきでした! よくわからないけど……すごかったです!」
ボストロールを倒した時も一瞬でした。あのときのアウラさんも、すごくかっこよかったなぁ……。
「一部では、『神速の女神』などと呼ばれている。ふ……どうでもいいことだが」
「大したことはない」と言うアウラさんは、どことなく得意気でした。
そうして、私たちはマッハドラゴンの鱗を手に入れることができました。
一枚一枚が大きくて、とても綺麗な鱗でした。




