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Ride30 謎のメモと大魔王

 アウラさんのおかげで、カレラを撃退することができました。  


「すごかったです、アウラさん! 居合斬り、お見事でした!」


 アウラさんは脇腹を押さえています。よく見ると、少し火傷をしているようです。


「いや……少しもらってしまった。それに、一撃で倒すこともできなかった。……私もまだまだだな」


「初めての武器で、大したものだよ。ありがとう、アウラ。ミタライにセローも。幹部がやられたことを知れば、残りの魔王軍も街から撤退するだろう」


 たたたた……!

 足音がした方を見ると、カレラに老婆にされ、ショックで気を失っていた女魔族が逃げていくのが見えました。どうやら元の若さにもどっていたようです。


「カレラの魔法が解けたんだ。ということは、イーオおじさんも、きっと……」


 よかった……。……あれ?


「どうした、ミタライ」


「何か落ちてます。さっきの女魔族が落としていったみたい」


 紙を拾って、書かれている内容を読みあげてみます。


『連れてくる女の子チェックリスト。Dカップ以上。かわいい、もしくは美人であること。ボンッ、キュッ、ボンッが望ましい。年齢は原則十歳から五十歳』


 アウラさんとルディアさんは、メモを覗き込みながら話します。


「この『Dカップ』とか、『ボンッ、キュッ、ボンッ』というのは、どういう意味だ?」


「よくわからないけど……なんかヤバいやつな気がする。これ、大魔王の命令書なのかな?」


 ていうか今更だけど、この世界の言語って日本語なんですね……。それはともかく……


「お二人は『Dカップ』っていう意味、知らないんですか?」


「「知らない」」


 心臓の鼓動が速くなるのを感じます。……この書き方、私の世界の言葉だ……。


「これ、おっぱいの大きさの、えっと……ランク付けみたいなものです」


「なんでそんなことを知っているんだ?」


「それは……」


 話すと長くなりそうです。セローもケガをしているし、正直、私もとても疲れていました。


「長くなるので……街の様子を見たら、一旦戻りましょう」



  △



 街の様子を伺うと、魔王軍は既に撤収しはじめていました。私たちの姿を見ると、顔を伏せてそそくさと街から出て行きました。

 イーオさんも少しケガはしていましたが、元気そうでした。街の獣医師さんにセローの手当てもしてもらい、ルディアさんの家に戻りました。


 鍛冶場を覗くと、ジラフさんが褌一丁で仰向けに倒れ、口をぱくぱくさせていました。

 ふつう何日もかかる刀をたった一日で作ったのですから、無理もありません。

 というか、私たちもヘトヘトでした……。みんなで床に倒れ、朝まで眠りました。もちろん、褌は締めたままで。



 翌朝、私は自分が別の世界から来た人間であることを改めてアウラさんや、ルディアさんたちにお話ししました。バイクのことや、跨がるとその人の回転速度計(タコメーター)やハンドルなどが視え、おそらく私がうまくやれさえすれば、秘めた力を引き出すことができることを。

 そして、魔王軍のメモに書かれていた言い回しが、私の世界のものであることを。


「この世界の人間じゃないと言っていたのは、そういう意味だったのか……」


「私は信じるよ。日本刀なんていうもの、この武器の街でも一度も耳にしたことがない。そして、あのメモを書かせたやつも、ミタライと同じ世界から来た人間の可能性が高い、ということだね」


「……はい。たぶん、これまでの感じからすると、大魔王がそうなんじゃないかと……」


 アウラさんは腕を組んで難しい顔をしています。


「急激に魔王軍が力をつけた理由も説明がつくな。おそらく、ミタライと同じような力の持ち主なんだろう」


「カレラも女魔族も、大魔王に力を与えられたと言っていたしね」


 ……ただ、私はカレラが急に老婆になったことが気になっていました。彼女自身も驚いていたようでしたし、もしかしたら過度に力を与えられて、反動が来たのかも……。

 ……もし、私の力にも同じような副作用があったとしたら……。


「……ミタライ、大丈夫だよ」


「え?」


 私の心中を察してか、ルディアさんがそう声をかけてくれます。


「ミタライと繋がったとき、力が溢れるとともに、なんというか……暖かい気持ちにもなったんだ」


「ルディアさん……」


「今も活力に満ちているというか……清々しい気持ちなんだ。たしかに疲れはしたけど、心地良い疲れだ。だから、きっと大丈夫だと思う」


「……はい。ありがとうございます」


 ふと、アウラさんが少し寂しそうな目をしている気がしました。すぐにいつも通りの調子に戻ったので、気のせいだったかもしれません。


「あぁっ!!」


 ルディアさんが突然ガタンッ、と椅子から立ち上がり、声を上げます。


「ど、どうした!?」


「親父……放置したままだった……」

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