Ride28 911
「つ、繋がりました! ルディアさん!」
これがルディアさんの回転速度計……シフトインジケーターも!
「ああ! あたしも感じるよ、ミタライ! 力が溢れてくる!」
「! ……まさかこいつら、このタイミングで発動したというの!?」
「いっくぞおおぉ!!」
一速……二速……三速……! これまでずっと無意識だった。
だけど……バイクにはそう、ギアがある。アクセルが、クラッチが、ブレーキがある……。
み、視える! ルディアさんのハンドル……! シフトペダル……ブレーキペダルも!
「アタシたちだって、大魔王様に力を与えられているのよ!」
襲いくる矢、魔法の炎、氷……! 右に左に荷重移動して、テンポよくアクセルを開けて……! それをかわす!
「すごい……! すごいよ、ミタライ! こんなに身体が軽いなんて!」
わかった気がする。私のスキルは、力を与えるものじゃない。
「ば、ばかな……こんなことが……」
人馬一体になって、秘められた本来の力を引き出すスキルなんだ!
最大トルク回転数、八千五百rpm!
ダンッ! 一気に距離を詰める!
そして最高出力発生回転数、きっちり一万一千rpm!!
「Vツイン・グラディアート・スティンガアァッ!!」
ズガガガァッ!!
電光石火の刺突三連……!! 目にも止まらぬ速さで、一気に三人を倒しました!
「あ……あ……、そんな……」
残った一人は、すでに戦意を喪失しているようでした。ルディアさんは、剣を突きつけて言います。
「これ以上は無駄だ。このまま、幹部のところまで案内してもらうよ」
「その必要はないわ」
「!」
ルディアさんは振り向くと同時に即座に飛び退き、距離を取りました。
私たちの後ろに魔族の……小さな女の子が立っていました。
いつの間に……!?
「カ、カレラ様……」
女魔族がそう呟きます。その顔は、恐怖に満ちているように私には見えました。
もしかして、この女の子が……?
「ミタライ、見た目に騙されちゃダメだ。こいつが魔王軍幹部、カレラだ」
十歳……いえ、それよりも幼く見えます。こんな子が幹部だなんて。
「カ……カレラ様、どうかお許しを……」
「フン」
カレラと呼ばれた幹部が女魔族を人差し指を向け、ビビビッ、と電撃のような光を放ちました。
ボンッ!
「……え?」
女魔族が、老婆の姿になってしまいました……! おそるおそる鏡を取り出し、自分の顔を確認しています。こ、これも魔法……?
「ぎ、ぎょえ〜〜〜ッ!!」
「クスクス……。老いは醜いわね〜。大魔王様に調律してもらわないから、こんな奴らにも勝てないんだよ?」
カレラは人差し指を唇に当てながら、私たちの方へ歩いてきます。
「カレンも皆んなも、どうして調律されるのをそんなに怖がるのかなぁ? そりゃあ初めは……だけど、慣れちゃえばとぉっても気持ちいいのに」
「……探す手間が省けた。ミタライ、こいつはここで倒すよ!」
「は、はい!!」
ダダッ! ……ブンッ!
「あはっ! そんなに焦らないでよ、お姉ちゃんたち」
ブンッ! ルディアさんの剣がやすやすとかわされる……!
「くっ……!」
「えいっ!」
ズドンッ!!
「うぐっ!!」
「きゃあ!」
目の前で爆発が起こり、砂埃が巻き上がります。足元に、大きな穴が空いていました。
「まったく……。カレンはこんなやつにやられちゃったの? ほんと、情けないんだから」
「……ミタライ、やれそうか?」
「ちょ、ちょっと自信無くなってきました……」
「上のコはおっぱいが不合格だけど、下のコは合格ね。こんなコがいたなんて……。ふふ、大魔王様が気に入りそう。連れていってあげるね」
この人……ものすごく強いです……。たぶん、ダイ村で戦ったカレンよりもずっと……
「ねぇ、精錬所から何を持って帰ったの? あのハゲのおじちゃん、全然口を割らないんだもん。だから、もっとジジイにしてあげたんだ。ふふ、今にも死んじゃいそう」
ルディアさんはギリッ、と歯を噛み締め、カレラを睨みつけます。
「……きさま……!!」




