Ride27 剣闘士《バトル・マニアック》
「跨がる……親父のときのように、だよね。鍛冶場では鍛錬に集中していたからあれだけど、そういうこと、なんだよな……?」
ルディアさんは顔を赤らめて言います。
「は、はい。ルディアさんがすごく強いということは分かっています。でも、幹部が出てきたときに備えて、やっておいた方がいいと思うんです。その……嫌でなければ……ですケド……」
「でも魔王軍がそこまで……」
「……戦いながらやりましょう!」
私はセローから降りて、ルディアさんに肩車をしてもらいます。
……できた! なぜアウラさんだけできないのかわかりませんが、これならきっと……!
「よし、行こう!」
「あ、あれ? ルディアさんは、私が跨がってもなんともないですか?」
「え? うん……。やっぱ……気持ちよくならないとダメ、なのかな?」
ルディアさんが私を見上げて言いました。あ、髪の毛が柔らかくて、気持ちいい……。
「あッ、……た、多分。じ、時間がありませんし、戦いながらでいきましょう!」
「あ、ああ。わかった」
「……セローは隠れてて!」
「アギャ! アギャ!」
セローは真っ直ぐ私の目を見つめています。何かを決意しているように……。
「……一緒に戦ってくれるの?」
「アギャア!!」
「……。ありがとう! でも、無理はしないでね!」
私とルディアさんは森から出て、魔王軍の前に姿を現しました。
セローは奇襲をかけるため、森に身を潜めています。
魔王軍兵士の中には、魔族の女性も何人かいました。
「あ! あいつだ! 精錬所の裏口で、男から何かを受け取って逃げていったやつ!」
「肩車してるわ……。あれって、もしかして連絡事項にあった……」
「! お、おれ、カレラ様を呼んでくる!」
兵士の一人が慌てた様子で街に走り出します。
セローが森から飛び出してあっという間に追いつき……、ドガッ!! 後ろ脚で蹴り飛ばし、それを倒しました。
兵士たちは驚いて街のほうを振り返り、そちらに気を取られています。
「今だ……突撃するよ、ミタライ……」
ルディアさんは剣を構えて走り出します。セローは魔王軍を威嚇し、私たちから気を逸らしてくれています。魔王軍の魔法も、難なくかわしているみたい。
私たちは兵士の一人に近づき、ルディアさんが短剣を突き立てます。
「ぐぉっ!」
「「「!!」」」
魔王軍は驚き、一斉にこちらを振り向きます。そして、ある者は剣を構え、ある者は弓や魔法で攻撃を仕掛けてきます。
ルディアさんは、剣を盾でいなし、遠距離攻撃を軽やかな足取りでかわします。
「……ふふ!」
「す、すごいです、ルディアさん。肩車しているのにこんなに」
はぁ、はぁ……。
「ふ……親父だってこの状態で刀を打っていたんだ……。あたしだってえぇ!!」
ズバァッ!! 男兵士を斬りつけ、
「ぎゃっ!」
「うんッ……!」
ドガッ! 後ろから迫ってきたもう一人を蹴り飛ばします。
「ぐっ……!」
「あんッ!」
ふ、ふんどしが……食い込んじゃう……。それにしても、ルディアさん、本当に強い……。まだ全然繋がっていないのに……。
「! ルディアさん後ろ!!」
「!」
ズドンッ!
「まったく……男どもはだらしないわね! これじゃ足手まといよ!」
「どうやら例のスキルは発動していないみたいだし、今のうちにやっちゃいましょう」
女兵士の放った魔法を、危うく盾で防御しました。気がついたら、四人の女兵士に囲まれています。
「ミタライ、気づいたか……!?」
「え? な、なにがですか?」
「こいつら、男は大したことないんだけど、女はやたら強い……!」
……言われてみれば……。でも、どうして? 魔族は女の方が強い、とか?
「男どもは煙の場所に向かいな!」
女兵士の声にビクッとして、男兵士が森に向かって走り出します。
「行かせるか!!」
ギィンッ!!
「ふふ……それはこっちの台詞よ」
ルディアさんと同じ、短剣使い……。男兵士たちは森の中へ姿を消しました。
「セロー!! お願いッ!!」
「アギャア!!」
セローは魔王軍を追いかけて、森の中へ走っていきました。……気をつけて……!
ギギギ……! 鍔迫り合いをしていると……
ドカッ!! 矢が飛んできました。ルディアさんが危うく盾でガード……! そこへ火の玉が……
ボンッ!
「くっ……!」
「あぁッ……!」
ルディアさんが身をひいて盾を構えたから、直撃はしませんでしたが……熱い……!
「はは……。アタシたち四人を同時に相手にできるかしら? 降参したほうがいいんじゃない?」
「そうそう。よく見ると可愛いしスタイルもいいから、案外大魔王様に気に入られると思うけど?」
「……」
まだ繋がれていないし、私は完全な死荷重だ……。これなら降りて戦ったほうが……。
「ふふ……降参? 冗談だろ?」
ビクッ! え……急に……?
「あんッ……ル、ルディアさん……?」
「こんなに追い詰められたのは初めてだ……! こんなおいしい状況、降参するわけないだろうが!!」
「あああぁッん!!」
繋がった……! もしかしてルディアさんは、強敵との戦いに快感を感じる人……!




