Ride25 鍛冶場
ジラフさんは、小割りにされたファルコニウムをテコに積み、炉に入れて熱します。
「うっ……」
熱い……汗が吹き出し、それはジラフさんの首に流れていきます。
ポタッ……、ポタッ……
「んっ! むぅ……!」「はぁ……、はぁ……」
熱せられ、ひとつの塊となったファルコニウムを取り出し、金床の上で鍛錬を行います。ジラフさんが金槌を何度も振り降ろします。ルディアさんは、時にファルコニウムを工具で抑え、時に金槌を振り降ろします。
カーンッ! カーンッ! カーンッ!
ぐりん…っ、ぐりん……っ、ぐりん……っ
不純物を取り除く作業……。その度に、私は振り落とされないように必死です。……同時に、ジラフさんの首が……に、押しつけられます。
「んっ……、んっ……、んふぅ……」
「ぬっ……、おっ……、ぐっ……」
素材を折り返して重ね、さらに叩いて鍛錬……。それを何度も繰り返します。これが、刃の表面を覆う、皮鉄を作る作業……!
「が、がんばれ! 三人とも! でも、その……もっとこう、激しく動いて、なるべく早く……な? この音……下手すると魔王軍に……」
「黙っててください!」「黙ってて!」「黙ってろ!」
「す、すまん」
△
何回鍛錬を繰り返したでしょうか……。
カーンッ! カーンッ! カーンッ!
ぐりっ! ぬちゅっ! ぱちゅっ!
「あっ! あんっ! あはぁっ!」
「うぬっ! ぐっ! うおぉっ!」
すごい汗で、私とジラフさんの触れ合う肌が、音を立てます……。
「あぁ……、なんという……。はぁ……はぁ……」
「………ッ!」
全員、汗でびっしょりです。
「ぬあぁッ!」
「んんんん〜ッ!」
カーンッ!
……そのときでした。私と、ジラフさんのカラダが輝き出しました。ジラフさんの、回転速度計が視える!
「ジラフさん!」
「ああ! 理解ったぞ! これだぁ!!」
最大出力回転数、八千五百rpm!!
カーンッ! カーンッ!
△
その調子で、柔らかい鋼を使い、刀の芯となる部分……心鉄作りまでの工程を終えました。
「す、すごいぞ! 親父! ミタライ! 物凄いスピードだ! なのに、この完成度……!」
「はぁッ……はぁッ……ウッ!」
「あ……んふぅ……」
「はぁ……んはぁ……」
……なぜアウラさんまで息を切らしているのか疑問でしたが、まぁ、暑かったせいかな……。
コン、コン……!
「……!」
誰かが窓を叩く音が聞こえます……。
「あたしが見てくる」
ルディアさんが様子を見に行きました。大丈夫でしょうか……。もしかしたら、魔王軍が……?
「うわああぁ!」
……! ルディアさんの悲鳴!
私たちは慌てて隣の部屋へ行きました。
「と、とと……でっかいトカゲがぁ!」
「「セロー!?」」
「アギャア!」
ここまで来たんだ……。でも、どうして……?
「あ、あたしはトカゲとかヘビが苦手なんだよぉ〜!」
「大丈夫、この子は仲間です。でも、どうしてここへ?」
窓を開けて、セローを撫でます。すると、彼は私に背中を向けました。
「アギャギャ!」
「……! ちょっと行ってきます!」
「お、おいミタライ!」
セローが意味もなくこんなことをするとは思えない。嫌な予感がします。
セローは私を乗せ、森の中を街のほうへ走っていきます。
「……!」
魔王軍の兵士たちが、こっちに歩いてきている……! きっと、煙が見えたから……。急いで戻らないと……!




