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ride12 パワーバンド

「さ、三角木馬!? 何よ、コレ……!」


 三角木馬さんはジャンプをしてアウラさん達を飛び越し、私の前に着地しました。

 ……やっぱり、私に乗れと言っている……!


「……ミタライ。私たちがなんとか時間を稼ぐ。その間に跨がれ!!」


「なんか知らねーが、頼んだぜ! 嬢ちゃん!」


 そう叫び、二人は再びカレンに向かっていきました。でも、このままじゃ……。


「…………っ」


 正直、怖い。私はただ、元の世界に帰ってバイ助君に会いたいだけなのに。


「ぐぁッ!」


 でも、このままじゃその僅かな望みも断たれてしまう。


「ぐっ……! ミタライ! もう長くは保たせられん!」



 バカラッ……!


「私たちが相手です!!」


 カレンは攻撃の手を止め、こちらを見ます。


「はぁ、はぁ……ミタライ……」

「じょ、嬢ちゃん……?」


 二人とも、遅くなってごめんなさい。でも、もう迷いません。


「……なに、三角木馬に跨がったりなんかして。それに、その変な兜。もしかして、バカにしてる?」


 カレンが目を見開いて、口角を上げて言います。

 ……怖い……だけど……!


「バイ助君に会うために! 力を貸して! 木馬さん!」


 ダダダッ!

 すごいスピード……! これなら、勝てる!

 私の意のままに動く! 後ろに回り込んで……!


 ズガッ!


「くっ……! なんて疾さなの!? こいつ、まさか!?」


 バイ助君……! バイ助君に会うんだ!! 心のアクセル、全開ッ!!


 バキィッ!!


 ……え? 急にバランスが……!?

 木馬さんの、脚が……折れ……?


「もらったわッ!」


 ゴオォッ!!


「きゃあッ!」


 カレンの手から激しい炎が放射され、私は落馬しました。木馬さんは……!?


「……ッ! 木馬さああぁぁん!!」


 三角木馬さんは炎に包まれ、倒れていました。

 ……落馬したんじゃない。木馬さんが振り落としたんだ。私を、助けるために……!


「く……ッ! な、なんということだ……!!」


 アウラさんは、搾り出すように言います。噛み締めた唇からは、血が滲んでいました。


「あっははは! バカじゃないの!? 三角木馬って! ただのSM道具じゃない!」


 私のせいだ……。私が、自分とバイ助君のことしか考えずに、無理をさせてしまったから……。

 もう……戦えない……。


「諦めるな!!」


 え……? ウルフ……さん……?

 ウルフさんは、膝に手をついて立ち上がり、私に呼びかけます。


「諦めるな……嬢ちゃん。三角木馬(そいつ)のおかげで理解(わか)ったぜ。俺の……為すべきことが!!」


 ウルフさん……もしかして……っ!


「嬢ちゃん!! 俺に跨がれええぇッ!!」


「……! はいっ!」


「させないよ!」


 がしッ! カレンが私たちを攻撃しようとした瞬間、アウラさんが彼女に組み付きました。


「ちぃ! 死に損ないが!!」


 バキィッ!


「ぐっ……!」


「アウラさん!」


 ありがとうございます。アウラさん……。おかげで……


「……ハッ!」


「間に合ったぜ……。エルフの姉ちゃん……!」


 なんとか、ウルフさんに跨がることができました……。肩車……!


「……ミタライ……ふッ、そういうことか……!」


「だからなんだというの!?」


 カレンが手を振ると、風の刃が襲いかかります。


 ザッ……! シュタッ! それをステップでかわし、私たちは距離を詰めていきます。


「これならどう!?」


 火炎の渦が巻き起こり、ウルフさんの服と、肌を焦がします。


「ウルフさんッ!」


「このくらい平気だ! だが嬢ちゃん……いや、ミタライと言ったな! もっと肩の力を抜くんだ! 俺の動きに合わせろ!」

 

 ……そうだ、バイクも同じだ。セルフステアを阻害せず、バイクの行きたいほうに任せて……! 

 

「いいぞ……! ングッ! こ、この感じ……キテるぜぇッ!」


「ひぅッ! は、はい! 私も、感じますぅ……! ウルフさんと、一つに!」


 ドクンッ、ドゥルルルル……


「飛ばすぜぇ! ミタライッ!」


「わ、私だって、負けるわけには行かないのよ……。もし、もし負けたら、大魔王様に……! いや、それはいやああぁ!!」


 ガキィンッ!!


 ウルフさんの剣と、カレンの風の刃が何度もぶつかり合います。


 ガッ! ギィンッ!


「……! さらに力が増してやがる……!?」


 カレンは高く飛び上がり、両方の手のひらに炎の渦を発生させました。


「ふ、ふふ……。たしかに強いわ、あんたたち。でも、こいつらはどうかしら……!?」


 まさか……村の人たちを狙って……!?


「え……? え……?」

「に、逃げろおぉ!!」


「へへ、逃すわけないだろうがよ」


 逃げようとする村の人たちを、カストロールが取り囲みます。アウラさんも満身創痍の状態で、アルフレッドさんに肩を預けています……。このままじゃ、みんなが……!


「終わりよ!!」

「だめええぇ!!」


 もうだめかと思ったその瞬間、信じられない光景を目にしました。


 ズゴッ! 黒焦げになった三角木馬さんが高くジャンプし、カレンに体当たりをしたのです。


「な、何なの!? コイツ……!」


 そして、奇跡的に彼女は、空中で木馬さんに跨がるカタチとなっています。いえ、木馬さんはこれを狙って……?


 ゴリッ……! ぐりッ……!


「んっ! こ、こしゃくな! ……あぁんッ!」


「ミタライ、今だぁ!!」


「!!」


 視える……! ウルフさんの回転速度計(タコメーター)!! 

 五千……六千……七千……!


「しっかり掴まってろ!!」


 ダンッ! ウルフさんがジャンプし、カレンを追撃……!


 八千rpm! パワーバンドに入った!!


「うおおおおぉ!!」

 

「くっ! 邪魔よ!!」


 ズバァっ!! あぁ、三角木馬さんが真っ二つに……。でも、あなたのおかげで……


「ウルフさん、行ってえええぇぇ!!」


「ツヴァイ•ストローク•ファングッ!!」


 ズズバァンッ!


「ぐあぁッ!!」


 ウルフさんの斬撃が、カレンを確実にとらえました。


「くっ……! やはりこの力、あのお方と同じ……! ほ、報告しなければ……!」


 カレンのカラダが光に包まれはじめました。


「……顔を覚えたわよ、あなたたち。絶対に……絶対に許さないんだから!!」


 最後にそう言い残し、光となったカレンは、彼方へと飛び去りました。

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