Ride11 ダークホース
「ここは俺に任せな」
「あ、あなたはマッサージの時の……」
「……ウルフ。二連牙のウルフ」
彼はそう名乗ったあと、私を振り返って言いました。
「マッサージのチップなんかじゃねえ。……ただ、どうしてもあんたを守らなきゃならねぇ。俺の魂がそう言っている」
「え……?」
ウルフさんは魔王軍の方を向き、「それに——」と言って続けました。
「この村は気に入ってるし、マッハドラゴンを倒すのは、この俺だ。長年の夢だったんでな」
アウラさんは彼を横目で見て言います。
「ふ……。言っていることはわからないが、中々できるようだな?」
「あんたもな。エルフの姉ちゃん」
ダンッ!
それだけ言葉を交わし、二人はカストロールの群れに向かって突進していきます。
……私はその場にぽつんと残されてしまいました……。でも、この二人、すごい……。
「遅いぞッ!」
アウラさんは目にも止まらぬ剣さばきと速さで次々にカストロールを斬っていきます。
すぐに剣が折れますが、カストロールから奪い、次々に持ち替えながら戦います。
「うおらああぁッ!!」
ウルフさんも豪快に剣を振り回し、負けじと倒します。
それを見て、村の人たちが歓声をあげます。
「い、いいぞ! ウルフさん!! 俺たちの村を守ってくれ!」
「エルフの姉さんもがんばれぇ!!」
「……アウラさん。どうかご無事で」
アルフレッドさんは心配そうにアウラさんを見つめています。……私も、応援くらいなら!
「が、がんばれ! アウラさん! ウルフさん!」
「だああぁッ!!」
ブンッ!! ズガーン……!!
す、すごい……。ウルフさんが剣を横に振るうと、たくさんのカストロールが吹き飛ばされて倒れました。
「この湧き上がるような力は一体……!? これが、俺か……?」
その様子を見ていたカレンは眉間に皺を寄せ、カストロールたちに言い放ちました。
「ちっ……。だらしないね。もういい! あたしが出る!」
カストロール達が戦闘を止め、道を開けました。カレンがその中央を歩き、アウラさんとウルフさんに近づいていきます。
「あたしはこんなやつらとは違う。覚悟はいい?」
「……ほざけ!」
二人が一斉に斬りかかりました。こんな強い二人に一人で敵うわけが……
パキィンッ……!
「!!」
アウラさんの剣が……折れてしまいました。
すかさずウルフさんが剣を振り下ろしますが……
ギィンッ!!
「ぐぉ!?」
カレンは手を軽く振っただけなのに、剣が弾き返されました。
アウラさんは倒れているカストロールの腰から剣を抜きます。しかし振りかぶった瞬間、パキィン! と、先ほどと同じ音がして、あっけなく折られてしまいました。
「ち! 風魔法か……!」
「そう……。あたしの風魔法はね、どんな名剣にも勝るのさ! これが大魔王様にいただいた力よ!」
二人は何度も斬りかかりますが、その度にアウラさんの剣は折られ、ウルフさんの剣は弾かれます。
ザシュッ! ズバッ!
「……くっ!」
二人とも、少しずつですがカレンの攻撃を受け、息が荒くなってきました。
「ち……! カストロールのナマクラ刀では、いくらあっても足りん! まともな剣さえあれば……!」
「ちくしょう……!! こいつ、強えぇ……」
「そろそろ終わりね……。まぁまぁ楽しめたわ」
ふ、二人ともやられちゃう……。そうしたら、次は私の番? もうバイ助に会えない……。でも、私なんかには何もできない……。助けて……
「終わりよ!」
「誰か助けてえぇ!!」
ガキイィンッ!!
「!! 何者!?」
「こ、こいつは……!? 信じられん……」
アウラさんとウルフさんの代わりに攻撃を受けたのは、三角木馬さんでした。
その背中には、私のヘルメットとグローブ、ブーツが乗っています。信じられないバランスで……
「三角木馬さん……。乗れ、と言っているの? 私に……」




