Ride10 強襲、魔王軍
「何!? 魔王軍だと!?」
男性はいそいそと鎧を身につけて剣を掴み、扉を開けます。私も後を追い、外に飛び出しました。
……ハッ、つ、つい勢いで、一緒に外に出てしまいました。しかもこんな格好のままで……。
村の入り口に人が集まっています。アウラさんもいました。同じ格好で……。あ、アルフレッドさんもいる。
「ミタライ……! なぜ来た!?」
「な、なんとなく、勢いで。……あの、魔王軍が攻めて来たって……」
「……ああ……!」
アウラさんの視線は、村の外に固定されています。
「……へぇ? 小さいけど、悪くない村じゃない」
その視線の先に、赤い髪で、ツノが二本生えた女の人がいました。その後ろには、カストロールがたくさんいます。
「あ! あの女どもだ!」
カストロールの一人が、私とアウラさんを指さして言います。
「ボスと仲間を大勢やったやつですぜ!!」
どうやらカストロールは、魔王軍の手下だったようです。
「ふぅん。こいつらが?」
私は怖くて、ついアウラさんの後ろに隠れてしまいました。
「カストロール……。魔王軍の配下になっていたとは……そこまで堕ちたか!」
「……下品な格好……。エルフはともかく、もう一人は強そうには見えないけどねぇ」
色々と否定できません……。こんな状況なのに、村の男の人たちがチラチラと私たちを見ている気がします……。
「まぁいいわ。あたしは魔王軍の幹部が一人、カレン。この村は、魔王軍がいただくわ」
「……こんな小さな辺境の村を手に入れて、どうするつもりだ?」
アウラさんが聞くと、カレンは「フン」と不敵に鼻で笑います。
「ここを、マッハドラゴン捕獲作戦の拠点とするのよ。大魔王様は、その力を欲しがっていらっしゃる。あんたたちは、奴隷としてこき使ってあげるわ」
ざわざわ……
「大魔王……だと……!?」
「?」
私は、なぜ皆さんが驚いているのかわかりません。そんな私を置いてけぼりにして、話は続きます。
「ふふ……。そうよ。今、新生魔王軍を束ねているのは魔王様ではない。……大魔王様よ」
「!!」
「ふふ……驚きを隠せないようね」
皆さん衝撃を受けていますが、私は何が何だかわかりません。そんな私の様子を察してか、アウラさんが教えてくれます。
「……もともとこいつらは、魔王軍とは名ばかりで、万引きや食い逃げ、チンケな詐欺や恐喝を繰り返している、しょうもない集団だったんだ」
「ちょ……それは言わない約束でしょ!?」
そうだったんだ……。ま、まぁ、人を殺したり、町を破壊したりするよりはマシですけど……。
「……最近になって、急激に勢力を増しているという話は本当だったようだ。……また自分たちで、くだらない噂を吹聴しているのだとばかり思っていたが……」
カレンは顔を赤くして怒っているようでしたが、やがて冷静になって演技がかったように言います。
「ふ……そうよ。魔王軍は、より強力に生まれ変わったの。大魔王様のお力でね!」
そう言って、カレンは村の入り口を一歩またぎました。
「抵抗せずに降伏するなら、手出しはしないわ」
彼女がそう言うと、カストロールたちから不満の声があがります。
「そりゃねーぜ! せめてこの女どもだけでもやらねぇと気がすまねぇ!!」
「そーだそーだ!!」
「……仕方ないわね。ただし、やるのはこの二人だけにしなさい。まぁ、たしかに戦闘員は始末しておいてもいいかもね」
……わ、私も戦闘員扱いされてる……。
私は、剣を構えるアウラさんの後ろで隠れるように縮こまります。カストロールがじりじりと近づいて来ます……。
ザッ……!
すると、私を背にするように、誰かがカストロール達の前に立ちはだかりました。




