表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/17

番外編 稲穂の香りに包まれて(田酒視点)

本編では常に美咲を支える存在だった田酒。

今回は、彼が初めて美咲に出会った瞬間から、恋に落ちるまでの心情を描きます。


 俺は田酒でんしゅ

 東北の大地に育まれた誇りを背負い、堅実に歩んできた。

 蔵を守るために必要なのは、誠実さと努力だと信じてきた。


 ──だが、桜井美咲さくらいみさきと出会った日、その信念は揺らいだ。


 彼女は不思議な娘だった。

 嗅覚きゅうかくチートとやらで、酒の香りだけでなく、人の心まで見抜いてしまう。


田酒でんしゅさんの香り……強いけど、優しい。稲穂みたいに安心する」


 その一言で、胸の奥が熱くなった。

 俺がこれまで背負ってきた重さを、軽やかに受け止めてくれるような気がした。


 仲間が増えるたび、俺は不安になった。

 十四代じゅうよんだいの華やかさ、南部美人なんぶびじんの誠実さ、越乃寒梅こしのかんばいの冷徹さ、黒龍こくりゅうの圧倒的な力。

 彼らの中で、果たして自分は彼女にふさわしいのかと。


 だが、美咲みさきは何度も俺を見てくれた。

 迷いの中でも、必ず俺を支えに選んでくれた。


 そのたびに思った。

 ──この人を守れるのは、俺しかいない、と。


 春祭りの夜。

 蔵がよみがえり、村人たちの笑顔に囲まれる中で、俺は決心した。


美咲みさき……ありがとう。君がいたから、蔵はよみがえった」


 言葉にした瞬間、抑えていた想いがあふれた。

 香りに導かれるように、俺は彼女の唇を奪った。


 歓声が響き渡る中、俺の世界は静かに満ちていった。

 稲穂の香りに包まれるように、彼女がそばにいるだけで心が穏やかになる。


 俺は田酒でんしゅ

 これからも誇りを胸に、彼女と共に歩んでいく。

 それが俺のすべてであり、蔵の未来そのものだ。

田酒視点の番外編でした。

本編では描かれなかった「主人公への揺るぎない想い」を、彼自身の視点で語りました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ