番外編 誓いの剣(南部美人視点)
本編では寡黙で誠実な守護者として登場した南部美人。
今回は、彼が美咲に誓いを立てた瞬間、そして仲間として歩んだ日々を回想します。
俺は剣を握って生きてきた。
守るべきものがあるから、剣を振るう。
それが俺の全てだった。
──桜井美咲と出会うまでは。
初めて彼女を見た時、俺は試した。
覚悟がなければ、この旅には耐えられないと思ったからだ。
けれど彼女は、俺の剣よりも先に「心」を見抜いた。
「冷たいけど、すごく温かい……」
その一言に、胸が震えた。
俺の中にある「守りたい」という願いを、香りで嗅ぎ取られてしまったのだ。
それからの日々、俺はずっと彼女を見守ってきた。
十四代が華やかに笑い、越乃寒梅が冷静に助言し、黒龍が圧倒的な力を見せつける中で……
俺の役目はただひとつ。
彼女を守ること。
剣を抜けば迷いはなかった。
だが、彼女が笑ったり、仲間を信じたりする姿を見ているうちに……胸が温かくなるのを止められなかった。
春祭りの夜、田酒と美咲が結ばれたとき。
俺の剣は少し震えた。
悔しさか、安堵か、自分でも分からない。
ただ一つ分かったのは──俺の想いは恋ではなく、誓いだったということ。
「桜井美咲。俺はこれからもお前を守る」
それは愛よりも強い。
剣と共に生きる俺にとって、唯一の真実の言葉だ。
南部美人視点の番外編でした。
彼の「恋ではなく誓い」という立場が、物語全体に深みを加えていると思います。




