視野狭窄
数ヶ月間更新しておらず申し訳ございません。
「!?」
嘘だ嘘だ。
見間違いに決まっている。
あれが彼氏なはずがない。
しかし、そんな私の希望と言っても良い疑いも、やがて残酷な真実の確信に溶けていった。
見れば見るほど彼氏なのだ。
私の彼氏……。
「かなとくん!!!」
こんなの、見てられない。
私は感情に突き動かされるように、部屋から飛び出した。
勢いよく部屋の戸を開けたせいで、「バン!!」と大きな音が鳴った。
「……!?何の音だ!!」
それに気づいたアデルが隣の部屋から声を上げる。
しかし、そんなものどうでも良い。
私は一切振り向かず、廊下を走り去る。
「お前!!部屋を出るなと言っただろう!!どこに行くんだ!!!」
そう言うアデルの声をよそに、私はお屋敷の外へと駆け出していった。
勢いよく階段を降り、外を駆ける。
屋敷の中で何人か使用人とすれ違ったが、全てすり抜ける。
「はぁ……はぁ……」
息絶え絶えだが、力を振り絞って走り続ける。
「かなと君!!かなと君!!」
風の抵抗で体がひんやりとするが、関係ない。
「場所は確かこの辺り……だったはず!!」
必死の思いで「その場所」に辿り着いた。
「……ここだ!!」
かなと君と誰かが抱き合っている。
しかし、何かがおかしい。
一切、かなと君達が動かないのだ。
2人ともぴくりともしない。
「……何で?」
私はもっと近くによる。
やはりぴくりとも動かない。
もっと近づく。
動かない。
もっともっと近づく。
動かない。
触れられる距離まで近づくと、私はようやく何が起きていたのか理解した。
「これは……。人形!!??」
それは、とても精巧にできた人形だったのだ。
よく見ると人間でないことが分かるが、本当に顔をよく近づけなければ分からないほど、よくできた人形だった。
「……。どういうこと?」
私は事態が飲み込めなかった。
背後から大きな危険が迫っていたと言うのに。




