今日!?
週一更新です。
「よし!ローザス様の隠し財産の場所も、カルロス様の家も分かりましたわ!!」
リリーが嬉しそうに言う。
先ほど自分の親族の悪事を知ったばかりだというのに、彼女はすっかり切り替えていた。
「隠し財産はこの泉からわずか徒歩5分!カルロス様の家は隣国の◯◯国の◯×村ですわね!」
物件みたいな言い方だな。
と思ったが、通じないと思うので言わなかった。
「……。あとは行くだけだな。」
アデルも言う。
「そうですわね!!準備が捗りますわ!!」
リリーが目を輝かせる。
「リリー様、楽しそうですね。」
思わず私がそう言うと、リリーは少し表情を変えた。
「……。マルク様のことは、ショックでしたわ。ですけど、正直わたくし、それ以上にわくわくしてますの。なんだか冒険みたいで。」
わたくし、意外と血も涙もないでしょう、そう言ってリリーはふっと笑う。
どうやら良家の娘であったことから、あまり自由に遠出はできなかったらしい。
「そうなんですね。まあそういうことなら、冒険として楽しみましょう!」
私がそう言うと、
「……そうですわね!じゃあ城に戻って準備をして、早速参りましょう!!」
と、リリーが威勢よく答えた。
「そうですね!早速行きましょ……」
私も思わず答える。
しかし。
あ、あれ……?
早速!?
ってことは、今から……!?
「えっ……?」
思わず口をついて出る。
「えっ……?」
リリーも私からの返答に戸惑ったみたい。
「……。き、今日、今から行くんですか……?」
念の為確認する。
「も、もちろん。そうに決まってますわ……。」
リリーも答える。
「……。」
沈黙が流れる。
待って。
今日?
色々あって忘れかけてたけど、私、身代わり頼まれてる上に命狙われてるんだよ。
身代わりが席を外すって、どうなの……?
それに、命狙われてるのに下手に動くのは……!
「あ、明後日とかは駄目なんですか……?」
「善は急げって言いますわよ。」
「……。」
リリーは今日行きたいっぽい。
そう、そうだ!!
身代わり頼んできたのはアデルだ!!
アデルは何て言う……
「いいぞ。」
嘘でしょ!?
「今日行こう。善は急げだって言うしな。」
そう言ってアデルは、私の頭に手をポン、と置いてきた。
「じゃあ、決まりですわね!!お城で準備を整え次第、行きますわよー!!」
えっ……ええ……?
私が困惑していると、アデルはこそっと耳打ちしてきた。
「お前の役目は終わりだ。」




