リリーの可愛さ
本日【9月1日】5回目の更新です。
お願いいたします。
ここは、『囚われのヴィヨレ』と「ハーレム王子‼︎(以下略)が融合した世界……。
そう分かって私は、だいぶ心が落ち着いた。
漠然とこの世界を歩いていた時より、ちょっと安心かも。
「……まるで正体不明のお化けが人間だったと分かった時みたいだわ。」
「??何を言ってますの?」
リリーが不思議そうな顔をする。そして、不意にアデルの方を見る。
アデルは少し離れたところで、「もう一つの箱」を調べているようだ。
少し時間がかかっているアデルが気になるのだろう。
しばらくリリーは黙っていたが、黙っているかと思うと、おもむろに私に顔を近づけた。
「グリシーヌ。絶対に誰にも言わないと約束してくださる?」
「えぇ?はい、まあ。」
私が戸惑いながらも返事をすると、リリーは覚悟を決めたような顔をして、私に耳打ちした。
「わたくし、アデル様が好きですの。」
ズキッ
また胸が痛んだ。でも、知っていたことではある。
「知っていますよ。」
「そ、そうでしたの!?」
グリシーヌは動揺していた。バレていないと思っていたらしい。
そんな様子を可愛いと思いつつも、胸がズキリ、ズキリと痛む。
「……。でも、でもですわ。」
リリーが口を開く。
「今の、ちょっと嘘ですの。」
え?どういうこと?
「私が本当に好きなのは、昔のアデル様。」
「昔のアデル様って?」
「昔のアデル様は、もっと活発で、明るくていらっしゃったの。ここ最近は静かで、デリカシーのない方に変わってしまいましたけど。」
「それはまた驚きですね。」
私がそう言うと、リリーはふっと笑った。
「でも、勇敢な所は変わってないことが分かりましたわ。」
そう言ったリリーは、とても可愛らしかった。
……可愛すぎて嫉妬しちゃうな。
嫉妬しながらも私は思わず、笑ってしまった。
その時。
「アデル様ーーー!!ここにいらしたんですねぇーーーー!!!」
聞き覚えのある声がした。




